訳あって、先日から同居人が増えた。
いずれまた転居する予定の彼にとって、我が家は<間借り>となる。
そのため、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、掃除機(既に2台あるので3台目)等々の家電はもちろん、衣類やそれを収納するケース、靴、書籍や文具OA機器が、同居人にもれなくくっついてきた。
 
想像してみてほしい。
ひと世帯分の生活空間に、あふれかえる家電やその他諸々の日用品のことを!
 
家中の隙間という隙間にそれらのものを詰め込めるだけ詰め込み、当分のあいだ通電しない冷蔵庫や電子レンジのなかも、収納スペースとして余すところなく利用していく。
そして、最も重要なのは、これを機会に必要ないものは<捨てていただく>ということだった。
けれど、如何せんそれらの荷物はわたしの物ではないので、勝手に捨てることはできない。
ひとの断捨離を眺めているのはこんなに歯がゆいものだとは知らなかった。
どう見てもガラクタにしかみえない物を「これは必要」「それも必要」と抱えるひとにいちいち呆れる。
でも。
そもそもこの呆れは、彼にとっては「おめえにはわかるまい」というはた迷惑な感情なのであった。
 
写真は沢野ひとし著ジジイシリーズの一冊。
みるみる身軽になってゆくひとは爽やかで神々しい。
 
 
削ぎ切りのむねにかたくり粉をまぶし焼くだけなのに燃やさないのに
                  漕戸 もり
 
 
むね肉。
心は胸のうちがわにあるとおもっている。
燃やすと跡形もなく消えてしまうものとして。