勢いよくつんのめると、自分の足なのに突如制御不能となり、わわわわと言っているあいだに、歩道から車道にはみ出て車に轢かれてしまうなんていう、最悪の事態をいつもシュミレーションしている。しているとしても、だ。下り坂はおっとっと、と言いながら不安定に下るのがあたりまえのこのごろである。
中日ドラゴンズの低迷が止まらない。
止まらなかった、や、止まった、ではない。おっとっと、を通り過ぎて、わわわわ、と言っているあいだのような、まさにいまその途中である。
判断力も、想像力も、団結力も、あるのだ。(ファンとしては、信じたいのでこういう言いかたになる)あるけれど、まさに転がり落ちているとき、そんなきれいごとなど、頭に浮かぶはずがない。
なんとか立ち止まろうとして、ひとすじの藁を掴んだかのようにみえるトレードのニュース。
山本拓実選手と郡司裕也選手を出してしまった。
山本さんと郡司さんを手放すということで、今のドラゴンズの<絶賛坂道転がってます感>が濃厚となった。
ファンというものは、わたしがいうのもなんだけど、最近正気じゃないとどことなく気づいていながらも、そうは言っても信じているから、と固唾をのんで夫に寄り添っている糟糠の妻のようなところがある。糟糠とは、かすやぬかのことを指す。貧しい食事を共にし、苦労をしてきたのだ。
一心同体となって転げ落ちるのも、いよいよ覚悟が必要になってきた。
昨年から何度目なのだろう、立浪監督の正念場は。
トレードのお相手である、日ハムの齋藤綱記選手と宇佐見真吾選手が悪いのではない。
こうなったら、おふたりにがんばっていただくしかない。
下り坂に、転ばぬ先の杖であるようなストッパーとして、というか…どうなんだろう。
もうそんなことどうでもいい気がしてきた。
球団を、個人の数字のための踏み台として考えてくれればいい。
単なる食いぶちとして、わりきって打ったり投げたりしてくれればいい。
どうか不束な主人のこと、何卒よろしくお願いします。
糟糠の妻より
糟糠の妻、重いな。
畳み皺ふかめる傘は重くなり今年の梅雨の底に仕舞ひぬ
漕戸 もり
