中学生のとき、交換日記をしていた。
やりとりは、あくまでも<わたしとあなただけの世界>にあって、
なんでもありだし、なんの意味もないし、
ただ、わーの、きゃーの言い合って悦に入るだけの、
自意識のキャッチボールだった。
ところが。
ここに第三者の目が入ると、<わたしとあなたの世界>が、
途端にだれかを傷つけたり、法律を犯したりするのだ。
先ほど、ありだし、ないし、と述べたように、
そのような得体の知れないものは、第三者の世界でジャッジしたら
大体において駄目なものと決まっている。
だから代わりに謝っておく。おくけれど、
<わたしとあなたの世界>を、引きずりだして壊してしまったことへの
お詫びはいただけないのだろうか。
ともだち、またはボーイフレンドと交わした日記は、
ときどき鍵付きのことがあった。
わたしが10代のころ、一時的なブームだったのかもしれないが、
文房具店に、今思えば子ども騙しのような鍵だったとしても、
鍵付きの日記は、お小遣いで買えるくらいの値段で売っていた。
万が一鍵がなくなっても、シャープペンシルの先で
鍵穴をごりごりしていれば、はらりとひらいてしまうような鍵だけど、
それが、わたしとあなたの世界を閉じ込めておく南京錠だった。
守りたかったものが、たとえアイスクリームのことや運動会のことであったとしても、
〈もう一方の世界〉に存在するために、必要な甘やかさなのだった。
問われているのはわたしたち第三者だ。
またすこしよごれてしまったな。
かたつぶりいつしよに住みたかつたけど 漕戸 もり
どうして命よりたいせつな仕事まで取り上げるのか。
どうして女だけなのか。
おい恋人、
料理なんてつくってる場合か。
