Happy Wedding を直訳すると、<しあわせな結婚式>が
いちばん近いとおもうのだけど、この英語表記を見聞きするたび、ぞわっとする。

以前、日本滞在が長いアメリカ人の友人から、

日本に住んでみて驚いた日本人の英語解釈がいろいろあるなかで、

上位に挙がるのが、このHappy Weddingだと聞いたことがある。

しあわせな結婚式のなにがいけないの?と尋ねると、

ネイティブがHappyをつけるのは、記念日や誕生日のように、

恒常的に習慣としてあり続けるものに対してにかぎられるので、

結婚式をまた誰かと何度でもする事情でもないかぎり、

結婚おめでとうと言いたければ、Congratulation on your wedding などと

いうのが正しいとおしえてもらった。

結婚記念日をお祝いするのなら、Happy Wedding anniversaryとすれば、

結婚式の翌年から毎年使えるということらしい。

いわれてみれば、海外からの祝電でもHappy Weddingではなく、

Congratulation!または、Congratulation on your wedding!だ。

中高大学と、さらっととはいえ、10年間も英語の授業を受けていたはずなのに、

この知識のなさといったら、我ながらまことに情けない。

こんな馬鹿者はわたしひとりで十分とおもっていたいのだけど、

どうやら大多数の日本国民は、誤ったまま、そのうえ

堂々と使っていることが多そうなのだ。

慣れというものは不思議なもので、

間違っていてもべつにだれにも怒られないし、むしろ和製英語のなにが悪いのか、と

国民全員で開き直っていれば、あらゆることはつつがなくはこばれてゆくのだった。

 

よくよくこの写真をみておもうに、チョコペンシルで

Congratulation on your wedding!と書くのは、

かなり難易度が高そうだ。

チョコレートの量もたっぷり必要になるし、

書き入れるハートのホワイトチョコレート(マジパン?)も、

もうすこし大きくないとおさまりが悪そうだ。

もし、

正しい英語表記がHappy Weddingのほうで、

日ごろ日本人が親しんでいるのが、

Congratulation on your wedding!のほうだったらどうなっていただろう。

なにも、チョコレートの量を惜しんで推理するわけじゃないけれど、

きっと、高確率の割合で一斉に修正されていたに違いない。

言うのも記すのも、シンプルに越したことはないのである。

 

披露宴で乾杯のご発声をされるゲストが、

「本日は月並みな乾杯ではなく、Happy Wedding~!で乾杯したいとおもいます。

それではみなさまご唱和ください。ハッピーウエディーング!」(イメージ)

という現場に、なんども遭遇したことがある。

尚且つ、そこに英語圏のゲストが出席していたパーティーもあった。

殆どのかたは常識人なので、一緒に「ハッピーウエディーング!」と

仰っていただいていたとおもう。

けれど、わたしたちが知らないだけで、実は心のなかで、

<まじウケる~>などと、面白がられていた可能性もなくはないのだ。

すこしニュアンスは違うけれど、発音の微妙な差異で、

「日本のフウリン(風鈴)が風情があって好きです」と言うところを、

「日本のフリン(不倫)が風情があって好きです」と、

会う日本人会う日本人に言っていたという、前出の友人とは別のアメリカ人を知っている。

それを聞いた日本人は度肝を抜かれたか、逆に

日本のカルチャーをよく学んでいる、と感心したか、はたまた

<まじウケる~>と面白がっていたか。

どれもコミカルで、まるで漫画である。

 

いずれにしても、隣人(地域のことではなく、地球人として)のことばを、

できるだけ正しく使いたいとおもう今日このごろ。

現場からは以上です。

 

 

 

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