共同生活というのは、普段はあまり意識しないものだけど、
たとえば、録り溜まった映像を観ないでそのままにしておくと、
録画時間が残り○○時間しかないから早く観てくれ、さもないと抹消してやる、
などと脅されるとき、不意におもいだす。
録画時間の残量に気をつけておくことは、
つくづく、軽んじてはならない共同生活者としての条件のひとつだとおもう。
 
テレビを観ない。
正確に言えば、リアルタイムでは観ない。
気になったものを録画しておいてあとから観るか、
YouTubeで検索するか、TVerかの三択になる。
録画は、お気に入りファイルなどの名称で保存できるので、
どうしても稼働比率が高めなのだが、
お気に入りに入れておいた動画を、再度観たためしがない。
だったらこれは、一体なんの予防線なのだろう。
自分でじぶんの知りえない闇を見るようだ。
まあそんなこと、どうでもいい。
今日は、録画してあった男闘呼組の特集番組を観た。
なんでも、結成35周年にあたる今年の8月に、
改めて解散するためのツアーに向け、昨年グループを復活したという。
ファンだったというわけでもないので、
今まで活動を休止していたことも知らなかったくらいなのだが、
要するに、中学や高校の同級生が、
どんな親父になっているか、どれどれひとつ会ってみようか、
というような軽い気もちで撮っておいたのだった。
驚くべきことに、ファンでもないのに、
メンバー全員の顔も名前も言い当てられたし、なんなら口ずさめる歌もある。
好きだった?いやいや断じてない。
男闘呼組が活動していたころ、わたしは洋楽にかぶれていたし、
そもそも男闘呼組どころか、ジャニーズは眼中になかった。
 
ともかく、顔と名前と歌以外のことはまったくわからないので、
お馴染みGoogle先生に聞いてみると、
男闘呼組の活動停止の経緯や、メンバーのひとりがなんと名古屋出身であり、
彼が法律に触れたことがあった過去などを教えてくれた。
さすがのGoogle先生ではあるが、今回は、
それを知ったとて、となんだか白けてしまった。
顔、名前、歌、これがわかるだけで十分だった。
それにしても。
彼らが、まろやかな笑顔を湛えていたり、
いい皺の刻みかたをしていなかったのが、かえってよかった。
決して順風満帆な人生を歩んできたのではなさそうな、ひりひりした感じ。
尖っている目つき。四人四様個性は違うのだけど、
全員が、人生ただじゃ終わらないぜ、という表情にぐっとくる。
男子頑張っとんな、女子もぐいぐいいくで、と
ちょっとした同窓会気分に浸る。
これは、勝負ではない。
負けへんで、では決してない。
互いに、オラオラと言いながら挑発し合って、
それぞれの人生を高めていく、それだけのことだ。
同世代のひとたちが、前のめりになっているのを見るのは刺激的で、
つられてもうすこし頑張ってみようか、という気になるのである。
 
さあ、ぐいぐいいくで。
 
 
 
  戦争を知らない子供たちの子が武器を奏でて濡れてろくぐわつ
                  漕戸 もり
 
 
わたしの武器はなんだろう。
すくなくとも銃じゃないということがどんなにしあわせなことか。