海の月だなんてかっちょいい漢字を充てられて、
さぞかし恐縮しているだろう。
クラゲを食べるたびそんなことをおもう。
中華料理店に行くと、前菜選びに時間がかかる。
結局は、棒棒鶏かクラゲの酢の物になるのだけど、
ここでさんざん悩んで決めさえすれば、あとはさくさくと物事は運び始める。
麺よ、飯よ、あなたは前菜を馬鹿にするけれど、
悔しかったら前菜をやってみなさいな、できっこないんだから。
海月としてのプライドが、ちんまりと運ばれてきて
いつも取り合いになるのは、
ただお腹がすいているだけが理由ではないような気がするのだ。
うちがはに点火して待つ海月かな 漕戸 もり
