行列のできるお店のお菓子をいただいた。
味や珍しさよりなにより、わざわざ人気店に出向いて買ってきてくれた、
という手間と心がうれしい。
試合をする前から優勝と決まっているようなものだ。
春は贈りものをしたりされたりわりと忙しい。
わざわざ、贈りましょうと決めつけられているような、
そしてなんだか下心満載感があふれるお中元やお歳暮の季節とは意味合いの違う、
何気なくふとそのひとをおもいだしたので喜ぶ顔がみたいとか、
そういえば先月誕生日だったから、などと
無理やり理由を見つけてでもお祝いしたいとか、
ぽわんとおもいついたように贈りたくなるのは、
陽気とともにコートを脱いでからだが軽くなることや、
雑草であれ閉じていた草花がひらくのを、そこかしこに見られるからだろうか。
贈りものをいただくのは無条件でうれしいのだけど、
贈るほうになってプレゼントを選ぶ時間も悪くない。
心がけるのは、おかえしをしてもらわなくていいものを選ぶこと。
高価なお品を選ぶこともあるけれど、だとしても
品とタイミングをきちんとかんがえれば、今すぐにでもおかえししなければ、と
相手のかたが焦るようなプレゼントにはなりにくい。
たとえば出産祝いだったら、生まれてしばらくしてから、
ママになった彼女がだいすきなお菓子を贈るとか、
なにげに気に入りの紙おむつの銘柄とサイズを聞いておいて、
セールしていたからと数個買って持っていったり、
バレンタインデーのある今年の二月には、
たまたま仕事で居合わせた方に最寄り駅まで車で送っていただいたので、
通りのコンビに一瞬寄っていただき、
アポロチョコやチョコベビーなどを買ってそのまま渡したりした。
こういうことは突然思いつくので、じぶんもお相手も後から
そんなことあった?というくらい印象に残らないので
さくさく忘れさられてゆくかもしれないけれど、
それくらいがちょうどいい。
人生で、というと大げさだけど、これまで贈っていただいたもので
思い出深いもののひとつに、有田の土鍋がある。
結婚するとき、とてもかわいがってくださっていた某ホテルの偉いかたと
もうひとかたとでいただいた土鍋。
未だにいただいた土鍋はどこも悪くならず欠けもせず、
むしろ味わい深く、特に冬にはかかせない我が家のアイテムとなっている。
偉いかたといっても、飲んだり歌ったり
飾らないおつきあいをさせていただけていたので、
冗談みたいに、割れ物だけど壊れんなよ~、縁起悪~、とか言い合いながら
結婚祝いとしていただいた記憶があるのだけど
今ごろになって、品質の良さや気配りや心をしみじみとかんじている。
そのかたはもう定年になって、昨年奥様を亡くされたと風の噂で聞いた。
日本画を描くダンディーなかただった。
連絡してみようかな。
つばめパン。
美味しいに決まっている。
だからといって浮かれてなんかいられない。
燕が一羽来たからって、夏はまだまだ先です。
平面の若い燕を飼ふここち 漕戸 もり
完食です。
