中日短歌会。

本日の会場は、以前たびたび飲んだくれていた

伏見地下街の近くなので目を閉じていても行ける。

…はずなのだけど、考えごとをしていたせいで

目的の建物をゆうに通り越し、

右手に元国際ホテル、というところで

やっと行き過ぎていることに気がついた。

位置関係をわかっていただけるよう

元国際ホテルで気がついた、と述べたが、実際はすこしちがう。

もうすこし手前の、まさに歩いていた側の通りにある

贔屓のマッサージ店のまえで気がついたのだ。

いつも栄方面からこの店へ来るから、

あれあれ、なぜにあなたはこんなところにいるの?と、

マッサージ店の誤りをただすようビルを見上げると

いやはや、マッサージ店の上下階に入っている

あやしげなお店のきれいなお姉さんの拡大写真が

わたしをいつもどおりに誘うので(男性向けのサロンだとおもいますが

きれいなお姉さんには女性もそそられるのです)

そこで確認のため、右手に目を遣ったのだった。

(そこに元国際ホテルがあるという次第)

目を閉じてても行ける、とおおきく出ておいて、

すたすた通り過ぎるなんて、よっぽどの考えごとだったのだろう、と

心配になって、はて、わたしはなにを考えていたのだろう、と

そのときも今も振り返るのだけど、さっぱり見当がつかない。

たった今の出来事なのに!

けれども、ただぼぉーと歩いていたわけではない。

なぜなら、途中でコンビニにも寄っている。

しっかりと用事も済ませている。

やることはやっているのだ。

なんだかエロテックな響きではあるけれど。

 

諸突猛進、ということばがあるが

目的(地)が手の届かない(遠い)とおもっていると

うっかり通り越してしまいそうな、おっちょこちょいな印象がある。

来年のかきぞめに諸突猛進。

年賀状に諸突猛進。

目標に諸突猛進。

有名人(主にスポーツ系の方)のサイン色紙に諸突猛進。

それらにはすべておっちょこちょいな要素がひそむ。

生真面目なのかふざけているのかさっぱりわからない。

そうおもうと、もうすこしゆるくいきましょうという気もちになる。

 

歌会というと肩に力が入る。

そのうえ年齢不詳の先人ばかりが揃う中日歌人会だ。

徐々に力が抜けますように。

 

 

 

 

  カーナビで見ると綺麗な曲線できみを迎へにゆく暮早し

       (漕戸 もり 中日短歌会定例第383回歌会詠草より)

 

評を入れていただいた歌人様ありがとうございました。

精進します。

 

追記

わたしには評を入れる権限はないのですが、

ひっそり今日の3首選を置いておきます。(全51首中詠草順)↓

 

 

  不快とも快ともつかぬ音たてて風の吹くたび竹は打ち合ふ

       (谷口 富美子 中日短歌会定例第383回歌会詠草より)

不快、快、の漢字の持つ意味というよりも、読んだときの音である「フカイ」「カイ」の

カ(か)の音を竹の打ちあう音のように読みました。

竹の打ち合う音というのは、わたし自身実際聞いたことがあるのかどうか…

あるとしても自分勝手に想像してしまっているような、

改めてこれだ、と言い切れるものはないのですが、それでも

想像の世界を押し上げてくれるような歌でした。

 

 

  太陽をひとりじめして鳶職の少年は鉄の足場を歩く

      (島本 幸子 中日短歌会定例第383回歌会詠草より)

鳶職とは仕事の種類なのですが、歌のなかでは

太陽と鳥の鳶が呼応しているような印象からか、

歌に深みをかんじました。

また、少年というのですから、鉄の足場を歩くのは

おぼつかないかもしれませんし、或いは軽快な姿も浮かびます。

それらも、鳶という鳥へ意味合いを持たせることに成功していて、

難しいことはなにも詠まれていないのですが、それが

かえってだれの心も温めるような歌になったのだとおもいます。

 

  寒きことが寂しさを呼びさびしさが内耳にやどるゆふぐれつづく

       (早智 まゆ李 中日短歌会定例第383回歌会詠草より)

ことばをつぎつぎに畳みかけていくのと、

結句にある(つづく)というのがぴたりと決まりました。

そのうえ、(寒い)からはじまったリレーめいたことばたちが、

(ゆうぐれ)という語彙に収束されてゆくので、

起承転結と言ってしまえばそれまでなのですが、この一首だけで冬の情感を

しっかり鑑賞させていただけたような歌でした。

 

 

ありがとうございました。