東桜歌会。
玩具みたいなお菓子たち。
甘いものをいただくと、辛いものが欲しくなる。
硬いものを齧れば、やわらかいものを含みたい。
歌を詠むひとは、おやつ選びが抜群に巧い。
日本の伝統芸道である歌道、茶道、書道、華道が、
微妙に影響し合っている結果だとしたら、
大変ありがたいことである。
本日の題詠は「枝」。
題詠とは関係なく印象に残った語彙は…
西高東低
芋虫
蜘蛛糸
青いひかり
ようじ鳥
枝毛
短歌には、わりといろいろな言葉がつかえる。
たとえば、(ようじ鳥)だなんて
どことなく、ひとを小馬鹿にしているような言葉ではないか。
存在は知っていたけれど、
それを(ようじ鳥)と呼ぶことを今日の今日まで知らなかった。
ネットで調べてみると、ちゃんと販売していて、
そのうえ結構高価な民芸品だった。
生きているものである。
嫌なことはできるだけ知りたくないけれど、
こういうどうでもいいことは、
知っても得はしない代わりに、ふくよかな気分になる。
あなたがもし、こんな朝みたいな夜に、
死にたいとおもっていたら、
すこしだけふみとどまって、
(ようじ鳥)と検索してみて欲しい。
嘴から律儀に一本ずつ爪楊枝を差し出す
謎の鳥をみることだろう。
この世界には、
まだまだ不思議で冗談のようなものが存在する。
それらのものやひとを、あと100個知ったとしよう。
ふくよかどころか、あらゆることがどーでもよくなるはずだ。
そのための、歌道であり、茶道であり、書道であり、華道なのである。
ちなみにこの言葉を挿入した歌を詠んだのは、
菓子選びのエキスパートであるRさんである。
結局ぜんぶぜんぶつながっているのだった。
剪定枝はこばれたあと日は暮れてちやんとしてゐる夜はつめたい
漕戸 もり(東桜歌会 題詠「枝」より)
すこしくらいぼうぼうしていたほうがあたたかい。
ちゃんとなんてしなくていいよ。
