蜜があふれる!ねっとりやわらか焼き甘芋
 
いやいや。
想像力がたくましいもんで、すみません。
言いたいことはよくわかるんだけど、
買おうとおもって近づいて、なんとなく買わずに帰ってきてしまった。
そのうえMじゃなくLサイズを選びそうになるのも、
ちょっとなんだか、あからさまじゃないかと躊躇したのだった。
なにがどうあからさまなのかはわからないんだけど。
 
そんなことを考えていたら、
 
おいもがはいっています   も
Lサイズは250g前後、Mサイズは200g前後   というのも
長期熟成 あま~芋   も
温かい・冷たいが選べます。   ですら
 
R18にみえてくるから不思議。
 
ボディの紫に黄色の配色も、よくみれば妙に艶っぽい。
 
自販機は駅構内の入口に設置されていたので、
後ろ髪をひかれながら改札に向かおうとすると、
すぐ下の飲み屋通りから上がってきたほろ酔いの男性たちが
ひとりまたひとりと、
吸い寄せられるように焼き芋自動販売機の前に立ち、
芋を買ってゆくのだ。
その姿はまるで「おにいさぁん、寄ってかない」と誘う
クラブのホステスさんについついなびいているみたいだった。
そういう意味で、
この焼き芋自販機の色合いもキャッチコピーも
見事に成功している。
 
なびくのは酔っ払いだけではない。
妙齢の女性がじっと自販機の前に佇んで、
(そんなものはないのだけど)取扱説明書を読むように、
自販機の下から上から書かれているすべての言葉を確認して、
Mをひとつだけ購入していかれた姿にもお目にかかった。
自販機は隠微だけではない、
わかりやすさもちゃんと兼ね備えていたのだ。
案外クラブのナンバー1のホステスさんよりも稼いでいるんじゃないかと、
焼き芋自販機を見直した。
 
正しさだけでは生きていけない。
すこし変わっていたり、奇抜だったり、ユニークだったり、
でも親切なところもあって、そのうえで
そこはかとなくR18である。
そういうふうに
焼き芋自販機は存在していて、みなさまに愛されている。
 
名鉄東岡崎駅から金山駅までの帰路は約40分。
くだらないことを考えるのにちょうどよい長さだった。
 
 
 甘藷てつぺんふたつ持つ千切る    漕戸 もり
 
 
なんだかもう呆れるくらいR18。