ホテルイベントの楽屋は一般的な客室であることもある。
であることもある、ということはそうでないこともあるということだ。
舞台袖の暗闇のなか冷えた椅子に座って待つこともあるし、
袖ですらお料理の導線かなにかが被っていると
司会台の前がにわかに楽屋的ムードになるときもある。
始まる前なんだからどこでもいいじゃないか、
と思われるかもしれないけれど、
意外とそのイベントの主催者の取り組み方や心意気などが
こういうことに滲み出てしまうので、わりとたいせつな視点である。
なにも立派な楽屋を用意して欲しいと言っているのではない。
隔離され豪勢な仕出しを用意されるのをお断りすることもあるし、
逆にしずかな個室をもとめることもある。
しあわせなのは、主催者とわたしの思惑が合致したときだ。
たとえ椅子すらないとしても、裏方さんと話ができて
そのおかげで
チームの一員として会を盛り上げることができたことなど、
数えたらきりがない。
お風呂も洗面もベッドもご自由にお使いください、と言われた。
16時に入って最終ミーティングが17時。本番は18時。
たった一時間にお風呂。
いつか是非チャレンジしてみたい。
(使用したのは簡易スリッパとトイレだけ)
唯一主催者様へリクエストをさせていただいたのは、
お弁当は不要もしくは持ち帰りできるようなもので、ということ。
本番前はどうしてもという以外は食事をしない。
じぶんの鮮度が落ちるような気がするからだ。
写真の奥にビニールでつつまれたものは、
お持ち帰り容器に入った仕出し弁当。
汁ものもすくなく、
横にしても大丈夫な紙の容器に上品に詰められたお弁当は、
今夜の晩酌のあてにちょうどいいサイズで、
そのひとときがあるとおもうだけで、至福といえる。
さて頑張ろう、とおもうときはこんなときで
このようなとるに足らないことの積み重ねがあるから
ほそぼそと仕事をつづけられているのである。
丁寧な切込み湯切り鰤大根 漕戸 もり
