愛情というのは深さや熱さではない。
濃さだ。
どんどん薄れてゆくのをとめられずに、
ゆびの間からぬけおちる阿呆みたいなあれこれを、
大事なものとおもって必死になってかき集めていた。
でも。
嘘でもそう言わないと、っていうときが、
頭の悪いわたしにも、相撲とりにもある。
小池真理子さんの某短編に、郷さんという魅力的な男が登場する。
種明かしをすれば、郷さんは死んでしまっていたのだけど。
愛情をおもうとき、小説のなかの郷さんをおもう。
僕の愛情がなくなったから by 貴乃花
こんなセリフ。
電通でも博報堂でもかけませんよ。
愛情というのは、
絶えずちろちろ種火を燃やしている性質だから、
どうかどうぞまたいつか。
百円と三百円の蕪煮ゆる 漕戸もり