言葉の音符 -27ページ目

言葉の音符

短歌のブログです

 

人々の 暮らしの中に溶け込んで

コーヒー一杯分のぬくもり

 

 

 私が最初にさみしさを感じたのは、結婚してしばらくたってから。周りに対して関心を持たず、別れを別れとも思わず故郷を飛び立った。気が付くと、私の本籍は東京になっていた。学生時代の、良くも悪くも濃い人間関係の中に身を置くことは、もうないのだな、と思った。友達が欲しいと思いながら、私の人生は、友達が少ない人生なのだな、と思った。楽しかったことが、なかったわけではない。感謝していることは、沢山ある。

 

 コロナ禍の中、ほとんど電車に乗らない暮らしをしている。行く所は、大体決まる。夫以外に話をするとしたら、行きつけのコーヒー屋さんのスタッフさん達。たまたま居合わせた常連さん達と、世間話をすることもある。それで、心がいくらか温まる。人間らしさが戻ってくるような。

 

 コーヒー一杯分の愛を、ありがとう。

 

 

 

地に染みて 海に流れる 天の水

流しきれない いくつかの過去

 

ありがとう 一人一人の顔浮かべ

新月見上げ 幸せ祈る

 

 

 祈る、という言葉は、もしかしたら正しくないのかもしれない。

 信じる、というのは、相手の、私に対する誠意・好意を信じるということだった。今もそれには変わりはないのだけど、「信じる」には、もう一つの意味があると知った。こちらが何も心配しなくても、祈ることさえしなくても、あの人やこの人は、自分の力で元気に幸せに生きていくことができる、と信じること。

 いろんな人が、そばにいてくれた。同じだけの別れがあった。これからも、誰かと出会い、別れていくのだろう。

 みんなそれぞれ一本の道を歩いていて、大丈夫だと思いながらも、やはり、祈るのだろう。