「脱力しなさい」「腹式呼吸で発声しなさい」
これらは良くある助言です。
しかし
まったく、なんの解決にもならないアドバイスであり
多くはただの受け売りなんじゃなかろうか、私は思う。
そのアドバイス通りに私が横丁で歌ったらどうなるものか、
「おいパリよ、手を抜いてるんじゃないか?」
や
「お前さん、ハートが御留守だな」
となる。
つまり!多くの場合、欲しいのはそんな減点法的アドバイスじゃなくて
最高パフォーマンスをして客人をノックアウトするための
最高の力の入れ方。力み方だ。
酒場全般のお客の傾向だが、
テクニカルな整った演奏を聴きたいという人は少数だ。
多くの人が胸に刺さる何かを求めている。
だから苦情の多くは、「なんか足りない」である。
たとえうまくても、「うまいけど足りない」となる。
(これらを無遠慮に表現してくれる客人は芸の神様の化身です)
何が足りないか、真実を説明してくれる人はあんまりいない。
しかし、とにかく足りてないから、お客はそう訴えるのだ。
お客が満足してない、ということだけが事実だ。
そうして、それを感じると、ふつう人は力む。
「相手にとって自分は足りてない」
不足しているから埋めたい!と思う。
これは健全な気持だ。
正しく当たり前のことだ。
何とかしたい!と思うことから
少しずつ足りるようになっていくのだから。
力むことで本当の力を少しずつ手に入れる。
実は一番早い手順だ。
横丁にもたくさんの音楽家がくる。
プロもアマもくる。
アマというか若手シンガーにありがちなのが
たいへん器用に大人びたテクニックを披露したりするのだが
ジャンルの形式に紛れてしまい、まったく御本人のソウルが発現してきていないケース。
ほんらい地のエモーションを出すべき音楽のソウル、R&Bに
そのケースが多いのは皮肉なことだ。
本人の感情、エネルギーを、
声や演奏に宿らせる方法こそを先に求めるべきだ。
そうすれば
自分のスタイルや個性を探すような、
本末転倒の徘徊をする必要もないだろう。
私はウマイヘタを超えて、
ただ熱烈でありたい。
要プロテイン!