リラックスして歌いなさい!というドグマに従うと人間さえも駄目になる | 社会のマンホール

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コーヒーカラー代表 仲山卯月 兼
恵比寿横丁流し パリなかやま
によるブログ

「脱力しなさい」「腹式呼吸で発声しなさい」
これらは良くある助言です。

しかし
まったく、なんの解決にもならないアドバイスであり
多くはただの受け売りなんじゃなかろうか、私は思う。





そのアドバイス通りに私が横丁で歌ったらどうなるものか、
「おいパリよ、手を抜いてるんじゃないか?」

「お前さん、ハートが御留守だな」
となる。

つまり!多くの場合、欲しいのはそんな減点法的アドバイスじゃなくて
最高パフォーマンスをして客人をノックアウトするための
最高の力の入れ方。力み方だ。

酒場全般のお客の傾向だが、
テクニカルな整った演奏を聴きたいという人は少数だ。
多くの人が胸に刺さる何かを求めている。
だから苦情の多くは、「なんか足りない」である。
たとえうまくても、「うまいけど足りない」となる。
(これらを無遠慮に表現してくれる客人は芸の神様の化身です)

何が足りないか、真実を説明してくれる人はあんまりいない。
しかし、とにかく足りてないから、お客はそう訴えるのだ。
お客が満足してない、ということだけが事実だ。
そうして、それを感じると、ふつう人は力む。
「相手にとって自分は足りてない」
不足しているから埋めたい!と思う。
これは健全な気持だ。
正しく当たり前のことだ。
何とかしたい!と思うことから
少しずつ足りるようになっていくのだから。

力むことで本当の力を少しずつ手に入れる。
実は一番早い手順だ。

横丁にもたくさんの音楽家がくる。
プロもアマもくる。
アマというか若手シンガーにありがちなのが
たいへん器用に大人びたテクニックを披露したりするのだが
ジャンルの形式に紛れてしまい、まったく御本人のソウルが発現してきていないケース。
ほんらい地のエモーションを出すべき音楽のソウル、R&Bに
そのケースが多いのは皮肉なことだ。

本人の感情、エネルギーを、
声や演奏に宿らせる方法こそを先に求めるべきだ。
そうすれば
自分のスタイルや個性を探すような、
本末転倒の徘徊をする必要もないだろう。

私はウマイヘタを超えて、
ただ熱烈でありたい。
要プロテイン!