ゆう@子育てパパ

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「再稼働の時期さえ見通すことができれば」。国内で唯一稼働していた関西電力大飯原子力発電所(福井県)の3、4号機が定期検査のため停止し「原発ゼロ」になった9月以降、関電幹部のこのフレーズを繰り返し耳にした。関電は今春、原発の長期停止によるコスト増を理由に電気料金を家庭用で平均9・75%、企業など大口向けで同17・26%、それぞれ値上げ。「景気回復の足かせになる」との声が関電に重くのしかかった。
関電は大飯原発と高浜原発(同)を再稼働させるため、安全審査を原子力規制委員会に申請している。だが作業は遅々として進まず、規制委と関電を含む電力会社の間からは不協和音が聞こえてくる。
規制委は、審査会合で関電の示した資料や見解の一部を批判、否定しては、突き返す。関電の八木誠社長は記者会見などで「できるだけ効率的な審査をしてほしい」と訴えた。
ただ関電は、大飯原発の安全審査に必要な資料で主な17項目のうち11月上旬までに提出するとした8項目で遅れたか未提出。安全審査を申請した電力会社の中で、最近本格的な審査に入った東京電力柏崎刈羽原発を除き最も遅れている。規制委の事務局である原子力規制庁幹部は「審査が進まない原因は事業者にある」と指摘した。
しかし、電力側は規制委からの追加調査の要請が重なっていることを挙げ「規制委の準備不足が原因。資料提出の遅れには、規制委の責任も少なからずある」(電力会社幹部)と言う。
そうして審査が長期化する中、関電の経営は悪化の一途をたどっている。大飯原発、高浜原発が今年度内に稼働できない場合、燃料費の増大などで2千億円程度の収支悪化となるという。初めて夏、冬ともボーナス支給を見送るなど人件費削減を進め、設備投資も抑制しているが、3期連続で赤字となる可能性が高い。一般企業なら金融機関が追加融資をためらう経営内容だ。
そんな中、関電は震災後初めて迎えた「原発ゼロの冬」を乗り切るため中部、北陸、中国の各電力から過去最大の計149万キロワットを融通してもらう契約を取り付けるなど供給力の確保に奔走した。それでも余力を示す「供給予備率」は3%。需要のピーク時に火力発電の1、2基が故障すれば、電力不足に陥る。
経済産業省は今月13日、エネルギー基本計画案で原発を「基盤となる重要なベース電源」と位置づけ、原発の活用方針をようやく明確化した。再稼働を急ぎたい電力会社には朗報となったが、いまだ危機のまっただ中にある。(板東和正)
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