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田中淳子の人間関係に効く“サプリ”:
20年近く前の上司の話だ。彼は人と会話をするのがとても上手で、相手を自分の土俵にうまく乗せてしまうタイプだった。部下ともよく話すが、部下からもまたよく話しかけられていた。他の上司の時よりもチーム全体の会話が活性化していたので、何が違うのか観察していたら1つ大きな特徴があることに気付いた。
【他の画像】
「回遊」するのである。
例えば、オフィスに2つの島があるとする。朝出社してきて、自席に着くまでは右側の島の間を通る。そして、席についている部下たちになんとなく声を掛ける。席を立ってどこかへ行く時、今度は左側の島の間を通る。戻ってくるとまた右側。ランチタイムは左側……。そのような感じで、いつも異なるルートを通っていた。そして全員ではないが、何人かに必ず声を掛けていく。
これだ! たいていの上司は、まず自席にどーんと座っている。彼・彼女らは「いつでもどんな時でも話しかけてね」「私はオープンドアポリシーだから」というスタンスを表明していることが多い。当人はいつでもどうぞと言っていても、実際に部下がしょっちゅう相談に出向くかというとそんなことはない。部下にしてみれば「わざわざ上司の席に言ってまで話すことじゃないし」とか「上司のところに行って、わずらわせるようなことでもないし」と考え、上司に話しかけることはなかなかしない。歳が離れていたらなおさらである。
そんな状態の時、上司側が回遊していくとどうなるか。部下からすれば上司が自分の席にやってくることになる。部下のテリトリーに上司が入ってくるわけだ。そうなると、がぜん話しやすくなる。
「今、何をしているところ?」(←ここでのセリフは会話のきっかけづくりなので、軽い質問がよい)
「今は、○○を調べています」
「なるほど。何か困っていることはある?」
「いえ、ないです。あ、ところで、ちょうどいいところにいらしたので、××の件でちょっと相談があったんですけど、今いいですか?」
こんな風に「××の件」を発掘することができるようになる。人は自分のテリトリーにいるときのほうが安心して会話ができるからだ。
こういう「回遊型」のコミュニケーションは、立場が上の人に特にオススメだ。また、問い合わせ窓口になるような仕事をしている人にも有効である。
●有効なコミュニケーション方法
ある企業のIT担当者の例だ。
彼は、社内のIT化を推進する立場であるだけでなく、社内のよろず相談役でもあった。PCそのもの、あるいは、システム操作時、こまった事態に遭遇したら、皆、彼に電話したり、彼の席まで質問しにいったりする。彼は自分が社内では一番ITに詳しい人間であると自負していたので、どんな質問でもどーんと来い! と構えていた。ただ、実際は自分が想定しているほどには社員が相談にやってこない。困っていることがないはずはないのに、大丈夫なのだろうか、と気になっていた。
例えば、新システムを導入したときには、その操作を覚えるために質問が多く出てくるはずなのに、あまり相談されない。「もしかすると旧システムをまだ使い続け、新しいシステムの勉強を始めていないのではないか」と懸念した。いずれ旧システムは使えなくなるのに、このままではいけないと思ったのだ。彼は一計を案じ、自分が回遊することにした。
100人規模の企業だったので、1日に何度かオフィス内を歩き回ればほぼ全員と顔を合わせることができる。なんとなく、誰彼となく目についた人に声を掛け、「何か困っていることはありませんか?」と問いかけるようにした。すると、これまで自分の席まで来て質問することはなかったような人でも、やはり疑問を抱えていることが分かり、「ちょうどいいところに来た。これ、教えてもらえます?」と言われるようになった。自分から相手に近づいていくとたくさんの質問や相談を披露することができるのだな、と実感し、以前にも増して、回遊をするようになった。
回遊によって現場からの相談をよく受けるようになった一方で、「しょっちゅう声をかけてくるので気が散る」などと感じる人も出てきた。「なぜ歩き回っているのか」という彼の想いや意図が伝わっていないことが原因だ。そこで、IT部門の取締役が全社員にアナウンスした。「現場を回ることでみなさんの声を拾って、迅速にサポートしようと思っています。聞きたいことがあれば、そのタイミングをとらえて、どんどん質問や相談をしてください」と。
また彼も、あまり話しかけると集中している人の作業を中断させることもあるため、だまって回遊することにした。気になる様子の人にだけ声をかけるようにした。
そうやって、回遊していくうちに「現場の人は、意外とITが分かっていない」「にもかかわらず、IT部門には質問しづらいらしい」「こちらから積極的にサポートすればすぐマスターしてくれるものだ」「この回遊によって新システムへの切り替えなども加速できるだろう」といったことが分かってきた。
自席に座っていたのでは分からないことはたくさんある。フットワークのいい人というのは、社内外の情報をよく拾い集めるものだ。それは自分のためでもあるけれど、関わる相手の仕事をいろいろな面からサポートができるというメリットもある。邪魔にならない程度の回遊というのは上の立場にいる人や誰かをサポートする役割にある人には有効なコミュニケーション方法だと思う。
[田中淳子,Business Media 誠]
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