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線路の間に生えている芝を刈っては回収する世界で1つだけの“芝刈り電車”。大正元年に運行を開始した路面電車を運営する鹿児島市交通局(同市高麗町)が所有し、道路との併用軌道区間にあるグリーンベルトの維持管理に活用している。
グリーンベルトは約8900メートル、面積は国立競技場4.5個分の約3万5千平方メートルに上り、見る人に潤いと安らぎを与えるグリーンベルトだが、維持管理には多額の費用がかかる。“芝刈り電車”こと「芝生軌道用芝刈等装置」は経費削減のために開発された。
運用から外れていた古い車両の車内に容量6トンの水タンクを設置し、車体前後に散水用のノズルを装備した散水電車が、芝刈り装置を牽引。芝刈り装置は廃車した電車の台車に4基の芝刈り用の刃、油圧ポンプ、ブロア、芝回収箱などを設置し、刈り取った芝を吸引して回収できる優れものだ。
所要があって鹿児島市を訪れたのは2月下旬。芝が枯れる冬季は当然運用されていないが、どうしても一目会いたくて鹿児島市交通局にお願いし、車庫に収まっている姿を見せてもらった。
突然の訪問にもかかわらず応対してくれたのは、市交通局電車事業課の車両係長と運輸技師の2人。茶畑でお茶を刈り取る機械が開発のヒントになったことや“人海戦術”での芝刈りに比べ費用が2割減になったことを教えてくれた。
速度は人が歩く程度。運行が終了した深夜しか作業できず、目撃できることも少ないとか。雨の中、車庫の片隅でひっそりと佇む“芝刈り電車”に華やかさはなかった。しかし、小学校や自治体などからの見学者が後を絶たない人気者だ。
桜島の降灰を洗い流すため、冬季でも昼間でも散水車が単体で活動することはあるが、芝刈り装置を牽引するのは梅雨を過ぎた頃になるという。
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