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ブリヂストンは、21日から25日までの期間限定で、テレビCMでおなじみの「TAIYA CAFE(タイヤカフェ)」を東京・原宿にオープンする。ブリヂストンが若者や女性に対するイメージを変えようと始めたCMの世界観をリアルに再現し、新しいマーケティング拠点としての可能性を探る狙い。「お堅い」とみられていた企業イメージを一新したCM戦略を実現させたのは、宣伝マンのタイヤに対する熱い思いだった。
「当社はモータースポーツなどを通じ、中高年の男性に対しては力強いブランドイメージが定着し好感度も高いが、若者や女性に対するアプローチは今ひとつで、ブランドに対する理解度も高くなかった」。「TAIYA CAFE」の仕掛け人の一人、ブランド推進部宣伝課の山本塁さんは、人気テレビCMができる前の社内事情をこう振り返る。
「もう少し柔らかいイメージで、女性の心に刺さるコミュニケーション方法はないか」。2011年3月の会社設立80周年を記念し、企業ロゴなどとともに消費者との新しいコミュニケーションの手段を見つけ出すよう、山本さんら宣伝課のメンバーに指令が下った。
そこで、「タイヤをこよなく愛する熱血店長が開いたカフェを舞台に、繰り広げられる物語をテレビCMにしてしまおう」というアイデアが持ち上がった。経営陣は、「世界の一人一人を支える会社」としてのイメージを定着させたいという思いが強く、最初は「TAIYA CAFE」のコンセプトが軽すぎるように映り、「会社の方向性が変わってしまう」と心配する声も上がったという。
CMは、TOKIOのボーカリスト、長瀬智也さんが店長を演じ、女優の石原さとみさんにタイヤの魅力を語るシーンが多く、ブリヂストンと長瀬さんの「男っぽさ」がイメージとして重なる。それでも、堅いイメージのCMをイメージしていた経営陣にとっては、「TAIYA CAFE」の採用は「大きな決断」だったというが、11年春のCMの放送開始以来、CMの人気と評価は高まる一方で、社内の心配も吹き飛んだ。
例えば、「コミカルでユーモアもあるが、タイヤへの情熱は失っていない」などと積極的に評価する声が社内外から寄せられた。販売店では「商品の説明をする際、テレビCMを持ち出すことで、お客さまにイメージしてもらいやすくなった」と早くも効果が表れているという。販売店では店の雰囲気を再現したカウンターや椅子などのミニカフェを店内に再現するキットを用意し、CMとの関連づけを強める戦略も展開している。
11年春から放送を始め、年に商品関連のCMを2回、企業関連のCMを2回制作しているほか、販売店向けのCMもあり、シリーズはすでに8作を超えている。山本さんは「毎回、物語の展開を期待されているため、それに応える面白い内容にすることと、実際の販売に結びつけるため商品の説明などもしっかり盛り込むことが大事。この2点をどう両立させるかについて、いつも頭を悩ませている」という。
クリスマスシーズンに、東京・原宿にリアル店舗を開くが、これが初めてではない。同社は今年のゴールデンウイーク期間中の5月2日から6日まで、東京・六本木ヒルズで、初めての「TAIYA CAFE」のリアル店舗を開いた。
「タイヤカフェってどこにあるの?」。テレビCMの視聴者から、こんな質問がブリヂストン本社に寄せられたことが、リアル店舗を開くきっかけになった。「もう少し、会社からの一方的なメッセージの伝達ではなく、双方向のコミュニケーションができる仕掛けを作りたい」という山本さんらの考えを形にした。
当時、CMで放送していたリトレットタイヤは、1次寿命が終了したタイヤのトレッドゴム(路面と接する部分のゴム)の表面を決められた寸度に削り、その上に新しいゴムを張り付け、加硫しトレッドパタンを形成して再利用(リユース)するものだが、CMの中でこれを説明するために持ち出したロールケーキを実際にカフェで売り出し、大ヒットした。
原宿のカフェでは、リトレットケーキのほか、JR東京駅のリニューアルにも使われた免震ゴムの例えに使ったミルフィーユもメニューに加える方針。「当社には、簡単にお客さまに理解してもらうことが難しい商材も少なくなく、今後もスイーツなどに例えて、わかりやすく説明できれば」と山本さんはいう。
初年度は「TAIYA CAFE」を知ってもらうことが目標だったが、2年目は「好きになってもらうこと」を意識して、リアル店舗を試した。3年目の次年度は挑戦の年という。「マンネリで飽きられることが一番怖い。新しいことに挑戦したい」と山本さんは張り切っている。
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