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市街地近くでクマの出没が相次いでいる。5日には長野市中心部など各地でクマが目撃されており、複数の住民がけがを負う被害も発生。近年、出没が増えているとされる背景として、専門家は毎年のように続く猛暑や冬眠に必要なエサ不足を挙げており、「全国、どこでも起こり得る」と警鐘を鳴らしている。
「クマは暑さが苦手で、川に入りたがる。川沿いに行動範囲が広がり、市街地に出てきたのではないか」と指摘するのは、日本ツキノワグマ研究所(広島県廿日市市)の米田一彦理事長。米田理事長によると平成13、16、18、22年はクマの出没が多数、確認されているが、いずれも気温の高さと連動しているという。
以前は昭和45年と61年が「大量出没」の年として知られているが、米田理事長は「温暖化の影響で、その頻度は高まってきた」と分析する。
クマは通常、600メートル以上の山に生息しているとされるが、気温が30度を超えると、腹部を土につけたり、川などの水で冷やそうとする行動に出るという。このため米田理事長は「近くに山と川があれば、どこの都市でも起こり得る」と指摘する。実際、5日に長野市中心街に出没したクマは、県庁近くの河川敷にいるところを猟友会会員が射殺している。
これに加え、冬眠に備えてクマが体内にエネルギーを蓄えるため、10月は大量のエサを必要とする時期でもある。今年は全国的にクマの主なエサとなるブナが凶作。米田理事長は「暑さとエサ不足が重なったことが出没の要因。クマが冬眠に入る12月中旬までは注意が必要だ」と話した。
クマによる被害を食い止めようと、すでに関係機関で連絡会議を開くなどの対応を始めた自治体もある。