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トアルコトラジャ、というコーヒー豆をご存じだろうか。名前だけでピンとくる方は割とコーヒーを飲みなれているのだろう。香りと味わいに特徴がある、高級のコーヒー豆だ。(産経デジタル・上坂元)
このトアルコトラジャだが、インドネシアで栽培されており、その味わいと稀少性から「幻のコーヒー」「セレベス(スラウェシ島の旧名)の名品」などと呼ばれ、18世紀にはヨーロッパの王侯貴族に愛飲されるほどの味わいだったという。そのトラジャコーヒーだが、第二次世界大戦の戦禍により絶滅の危機まで追い込まれていたのだそう。その危機から救ったのは喫茶店の看板などでもなじみの深い「キーコーヒー」だ。一企業のあり方を超えた再生プロジェクトには“ものづくりの国、日本”が思い出すべき情熱があるのではないだろうか。
キーコーヒーによる復活プロジェクトが生まれたのは1970年、元社員がインドネシアから持ち帰ったコーヒー豆がきっかけだった。戦禍により失われたと考えられていたトラジャコーヒーがまだ残っていることがわかったキーコーヒー社内は騒然とし、すぐに現地調査の開始が決定した。
現地に確かにトラジャコーヒーは残っていたが、当時の輝きはすでになく、野生化ともいえる荒れ様だった。しかし、トラジャコーヒー復活に燃えるコーヒーマンたちは、インフラ整備から始める必要がある巨大プロジェクトを推し進めた。「日本のコーヒーマンとして、世界に冠たるトラジャコーヒーを見捨てることはできない」というコーヒーにかける情熱と、日本の生産技術を持ってすれば必ず復活させられるという信念がプロジェクトのエンジンとなり、困難に立ち向かう決意を固めたのだった。
オランダ支配の再来を懸念する現地の不安を説得し、現地の密林の大開拓、品質管理、技術指導、巨額の投資などの困難なステップを乗り越え、1978年3月10日、ついに日本での発売を開始。すぐに全国的な話題を集め、品切れを起こすほどの反響を得るまでに至った。トアルコトラジャが完全復活を遂げたのだった。
いくつもの苦難を乗り越え復活を遂げてから30年以上が経ち、トラジャコーヒーの味わいが世界で再び注目されている。世界中の味覚的に優れた食品および飲料品の審査、表彰を行なう世界有数の機関iTQi(国際味覚審査機構)の品評会において2010年から3年連続となる優秀味覚賞を受賞。「セレベスの名品」が再び輝きを取り戻しているそうだ。今年は復活の香りを楽しんでみるのも良いのかもしれない。
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