平凡なヒーローに 私もなりたい・・・。(~_~;)
















 「大いなる力には、大いなる責任が伴う」──。これは、マーケティング部門あるいはオペレーション部門にいると考えているCIOであれば、「大いなる力には、いつまでも続く会議やいら立たしいレガシーアプリケーション、信頼している仲間が時折引き起こす面倒が付き物だ」と感じることもあるだろう。驚いたことに、『アメイジング・スパイダーマン』『ダークナイトライジング』『アベンジャーズ』といった最近のハリウッドのヒット作には、CIOとその腹心のスタッフたちにも当てはまるリーダーシップの秘訣がちりばめられている。



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●平凡なヒーローたちのチームを結成する



 バットマンの存在は、執事のアルフレッドやキャットウーマン、ルーシャス・フォックスなどの存在なくしてあり得なかっただろう。アベンジャーズにも、個性的なヒーローたちを仕切る司令官ニック・フューリーの存在が不可欠であり、厄介な状況に陥ったときにヒーローたちを団結させるためにはベテランエージェントであるコールソンの存在が必要だ。トニー・スターク(アイアンマン)ですら、美人秘書ペッパー・ポッツがいなければ、ただの金持ちの若造にすぎない。こうした脇役のチームメンバーたちは何か特別なパワーを持っているわけではない。だからこそ、皆がとても特別な存在なのだ。熱心で優秀なスタッフを擁するチームをまとめることができるCIOは、宇宙を支配する力を味方につけている。



●チームのモチベーションを見極めて利用する



 ピーター・パーカーがやる気を出したのは、伯父ベンの死に責任を感じ、犯人を探し出そうと思ったからだ。ニック・フューリーは、伝説の英雄キャプテン・アメリカに唯一の武器である盾を手に取らせるためには何を言えばいいかを分かっていた。さらにフューリーは、アベンジャーズのヒーローたちに行動を起こさせるためには、トレーディングカードのコレクションをどのタイミングでどのように使えばいいか――そして時には本物ではない特殊効果を使う必要があることも――を知っていた。テロリストのベインによってゴッサムシティが恐怖で支配されるのを傍観していたブルース・ウェイン(バットマンの本名)が再びマントとマスクを身にまとうのは、バットマンとして再び犯罪に立ち向かうようゴードン市警本部長に懇願された後のことだ。ITチームに高水準の働きを期待するのであれば、まずCIOがチームのメンバーに対し、素晴らしいことを成し遂げるよう強く求めなければならない。そしてそのためには、「何がチームメンバーのやる気を引き出すのか」だけでなく、「何がメンバーに並外れた業績を挙げさせるのか」を見極めることが重要だ。



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●人とのつながりを保つ



 バットマンやスパイダーマンには警察幹部とのつながりがあった。アベンジャーズのヒーローたちにも、ニック・フューリーやエージェントのコールソン、そして国際平和維持組織S.H.I.E.L.D.(シールド)とのつながりがあった(一部は不本意ながらだが)。ピーター・パーカーはひどく内向的な人間だが、それでも市民やコミュニティーのリーダーたちとつながりを保っていた。スーパーヒーローたちはまず例外なく、一般市民の雑多な問題に対処してくれるごく普通の人たちの存在なしでは何者でもなかったはずだ。CIOは自分が地下のジメジメとした秘密基地バットケーブから会社を運営しているかのように感じることもあるかもしれない。だが実際には、CIOはマーケティング部門も含め、あらゆる業務部門の責任者と連絡を取り合う必要がある。リーダーシップの秘訣の中でも、最も重要なこと、それは「どんなにすごいスーパーヒーローであれ、ネットワークを築く必要がある」ということだ。



●強いのは腕力よりもテクノロジー



 超人ハルクがいろいろなものを破壊する様子は圧巻だが、アベンジャーズの真の主役が「最新技術が満載されたハイテク武器を手にしたトニー・スターク」であることに誰も異論はないだろう。スパイダーマンにしても、遺伝子操作されたクモの能力はその後、ウェブシューターなどのハイテクツールで強化される。そしてブルース・ウェインは世界最強の万能ベルトを身に着けているが、ただの男だ。CIOが少ないIT予算でもビジネスに大きな影響を及ぼせるのは、CIOにはハイテクベルトという強力な武器があればこそだ。そしてもちろん、社内のその他のスーパーヒーローたちはCIOのことを多少なりとも腹立たしく思っているかもしれない。結局のところ、すてきなヘアスタイルの雷神ソーも、スターク仕様のハンマーを手に入れるためであればどんな犠牲もいとわないのではないだろうか。



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●正しいことをして憎まれることもある



 スーパーヒーローは大抵、当局から逃れようとしている。実際スパイダーマンはあるとき、「警察の代わりに悪人を捕まえているのに、なぜそんなに怒るんだ?」と尋ねたほどだ。ゴッサムシティの市民もバットマンを悪者だと思っていた。これには多くのCIOが共感できるだろう。IT部門はよくてもせいぜい「許される」のが関の山で、ひどいときにはユーザーに非難される。人は誰かに借りがあったり、誰かと不平等な関係にあることを認めたくないものだ。環境の変化に対するユーザーの反応はさまざまだろうが、CIOは「秘密基地バットケーブでは良いアイデアにみえても、ユーザーコミュニティーに大問題を引き起こす可能性がある」ことを肝に銘じておくべきだ。あるいは大問題とまではいかないまでも、お気に入りのWebページを眺めながらの休憩時間を台無しにされるくらいの覚悟は必要だ。



●まずは問題を解決すること



 感謝の言葉をかけられるのを待ってはならない。スーパーヒーローは窮地を脱した後の祝勝会を期待したりはしないものだ。実際スーパーヒーローは、自分が助けた人に礼を言うチャンスを与えないほどすぐにその場を立ち去ってしまう。スーパーヒーローには次に救うべき命、次に倒すべき悪人の存在があるからだ。優れた行為を認めてもらえるのは素晴らしいことだ。だがそれは最後の悪玉が根絶され、世界が再び安全になってからの話だ(率直なところ、そうなる可能性はどのくらいだろう?)。中堅企業はどこも問題を抱えている。それを解決するのがCIOの仕事だ。難しい仕事ではある。だが、大いなる力には、大いなる責任が伴うのだ。



●ご褒美も大切



 リーダーシップの秘訣を最後にもう1つ。それは、チームに報いることだ。そのためには、「シャワルマでもどう?」の一言で十分だろう。



※訳注:「シャワルマ」は、薄くスライスした肉をパンなどにはさんだ中東諸国の軽食のこと。