大阪府警北堺署の30代の巡査部長が「消せるボールペン」で調書を作成した上、容疑者が署名押印した後に勝手に書き直して改竄(かいざん)していたことが22日、捜査関係者への取材で分かった。改竄は助詞の使い方や文章の手直しで、事件の立件に影響はなかったが、府警は虚偽有印公文書作成・同行使容疑で書類送検し、懲戒処分を行う方針。
府警幹部は「署名押印後の調書を書き換えてはいけないという基本すら分かっていないのは大きな問題だ」と指摘。巡査部長は調べに「大変なことをしてしまった」と説明しているという。
捜査関係者によると、巡査部長は昨年末に発生した府迷惑防止条例違反事件で、自首してきた容疑者の「自首調書」を作成する際、鉛筆のように文字を消すことができるボールペンを使用。調書作成後、署名と押印させて完成させた。しかし、その後、人の歩く方向を「右」から「左」と書き換えたり、「見る」の前に「しっかり」という言葉を付け加える改竄をしたとされる。
ほかにも、「~は」「~が」といった助詞を変えたり、漢字とひらがなを入れ替えたりした書き換えが数カ所あった。巡査部長はこれまでの事情聴取に書き換えを認めているという。
府警は改竄について、事実関係をねじ曲げたり、捜査に有利になるように手直ししたりする修正はみられず、捜査に大きな影響はないとしている。しかし、書き換え自体が調書全体の信用性に影響を及ぼす重大な行為と判断。巡査部長を書類送検する方針を固めた。
調書をめぐっては、昨年1月、北海道警で参考人から聴取したように装った供述調書を作成したとして警官が処分された例がある。また、平成22年には、大阪地検検事が府警貝塚署に対し、捜査報告書にあったアリバイ発言部分の削除を指示し、これに応じた警官とともに処分を受けている。
また、大阪地検特捜部の押収資料改竄・犯人隠避事件を受けて最高検が昨年2月に実施した全検事の意識調査では、約26%が「実際の供述と異なる特定の方向で供述調書の作成を指示されたことがある」と回答していた。
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