開発経験:ゼロからローンチまで、どんな落とし穴に遭遇したか?

1) 製品開発は「モデルを接続すれば終わり」ではない

AI製品とは、モデルAPIに接続して画像や動画を生成するだけだと考える人が多いようです。しかし、真の課題はモデルそのものではなく、プロセス全体の安定性、制御性、そしてスケーラビリティを確保することです。

例えば、同じ「動画テンプレート」であっても、ユーザーによって入力される写真の品質は大きく異なります。照明、角度、鮮明度、顔の隠れ具合、集合写真など、これらの要素が最終的な結果に影響を与えます。そのため、私は多くの「製品レベルの安全策」を実装する必要がありました。

ユーザーが説明を入力しない場合は、デフォルトの提案を使用して安定した動画出力を実現します。

ユーザーが説明を入力する場合は、長さ、センシティブな言葉、無理な要求を制限し、生成の失敗を防ぎます。

失敗は再試行可能でなければならず、問題解決メカニズムが用意され、ポイントの返金/補償メカニズムも整備されていなければなりません(そうでなければ、ユーザーはすぐに離脱してしまいます)。

2) コストと課金:最大の問題点は技術ではなく、「会計」です。

AI生成コンテンツのコストは変動します。同じ7秒間の動画でも、推論の実行時間が長くなるとコストが急騰することがあります。また、同時実行性、キューイング、再試行といった要因によって、単一トランザクションのコストが制御不能になることもあります。

そこで、私は以下の2つの点に多くの時間を費やしました。

コスト監視:機能ごと、生成ごと、動画1秒あたりの実際のコストを統計的に計算する必要があります。

ポイントシステム:長期的な収益性を確保しながら、ドルベースのコストをユーザーが理解しやすい「ポイント」に変換します。

これが適切に行われないと、製品は「ユーザーが使うほど損失が増える」という状況に陥りやすくなります。独立系開発者にとって、これはほぼ致命的です。

3) エンジニアリングの詳細:ログイン、ストレージ、キューイング、障害処理

導入後、ユーザーの問題は多くの場合非常に「現実に即している」ことに気付くでしょう。しかし、その解決には高度なエンジニアリングによるアプローチが必要です。

ログインシステム:メールログイン、サードパーティログイン、CAPTCHA、不正防止対策、不正利用防止対策

ストレージシステム:生成された動画/画像は、拡張可能なパス構造(機能ごとに異なるディレクトリ)を持つオブジェクトストレージに保存する必要があります。

キューイングと同時実行:AIタスクは無期限に実行することはできません。キューイング、レート制限、ステータス追跡は必須です。

タスクステータス:生成中、失敗、成功、期限切れ、再試行。各ステップには明確なステートマシンが必要です。

異常処理:モデルのタイムアウト、サードパーティインターフェースの変動、ユーザー入力の不一致など、すべてに処理ロジックが必要です。

多くの場合、ユーザーはボタンしか見ませんが、その背後には全体的な安定性システムが存在します。

4) 多言語対応とSEO:翻訳だけではありません

より多くのユーザーにリーチするために、多言語ページを作成しました。しかし、すぐに以下の点に気づきました。

多言語対応は単なる翻訳ではありません。現地ユーザーの検索習慣(例:ロシア語と英語のキーワードの違い)も考慮する必要があります。

ページ構造、H1/H2ページ、FAQ、スキーマ、内部リンクはすべて、インデックスとランキングに影響します。

「コンテンツの重複」という問題もあります。異なる言語で同じ機能を提供するページ間の競合を回避し、コンテンツを適切に正規化する方法も重要です。

AIツールサイトにとってSEOは不可欠ですが、長期的かつ反復的で体系的なプロジェクトでもあります。

運用プロセス:「作成」から「ユーザー獲得」へとどのように移行したか?

1) 初期段階:「高度な機能」ではなく「共有可能な結果」に重点を置く。

運用開始当初は、ユーザーが生成した結果を共有してくれるかどうかに最も重点を置いていました。

babyvideo.aiのような製品にとって、最大の成長は広告ではなく、ユーザー自身がソーシャルメディアプラットフォームで共有してくれることです。

そのため、テンプレート、出力品質、生成速度、そして共有体験の合理化を最優先に考えました。

生成される結果は、「一目見て共有したくなるほど魅力的」であるべきです。

出力は明確で、スタイルは一貫しているべきです。

ユーザーに複雑なパラメータの入力を要求しすぎないようにする(離脱率を下げるため)。

2) チャネルの実験:ディレクトリへの露出、コミュニティ投稿、ショートビデオ素材

AIツールディレクトリへの投稿、コミュニティフォーラムへの投稿、Pinterest/Quoraなどのプラットフォームを通じたトラフィック誘導など、様々な方法を試しました。しかし、すぐにあるパターンを発見しました。

nofollowリンクのディレクトリ露出は、必ずしもSEOに直接的に効果をもたらすわけではありませんが、実際のクリック、ブランド検索、そしてそれに続くオーガニックメンションにつながる可能性があります。

「dofollowリンクのように見える」バックリンクを購入しても、ソーシャルメディアやUGC(ユーザー作成コンテンツ)への配置の場合、SEO効果は非常に限定的です。

最も効果的なアプローチは、多くの場合、以下の通りです。

コンテンツ + デモ + 結果比較。入力と出力の違いをユーザーに見せることで、自然とクリックして試してみたいという意欲が高まります。

そこで、私は「再現可能なデモ素材」の作成に注力するようになりました。

将来の赤ちゃん予測:カップルの写真 → 赤ちゃん予測画像

成長の変化:1枚の画像 → 複数年齢層の比較

赤ちゃんの漫画:オリジナル画像 → 複数スタイルのアバターコレクション。このコンテンツ自体が広告であり、押し売り広告よりも拡散しやすいです。

3) ユーザーからのフィードバックがイテレーションを促進:「生成の失敗」を製品タスクとして扱う

運用において最も重要なフィードバックは、「見た目は良いか?」ではなく、以下の点です。

なぜ生成に失敗したのか?

なぜ見た目が良くないのか?

なぜキューが長すぎるのか?

なぜポイント消費が分かりにくいのでしょうか?

これらの問題はどれも、製品のイテレーションポイントに直接結びつきます。入力候補の改善、デフォルトパラメータの安定化、請求説明の明確化、タスクステータスの透明性向上、そして失敗時の補償の妥当性向上などです。

独立系開発者にとって、運用とは「マーケティングを行うこと」ではなく、「実際のユーザーを活用して製品をより強力にすること」です。

現在の認識:SaaS構築で最も難しいのは、「一つのことを継続的にうまく行うこと」です。

0から1を構築するのはほんの始まりに過ぎません。真の課題は以下のとおりです。

コスト管理

安定したユーザーエクスペリエンス

出力品質の継続的な向上

継続的なチャネルテスト

継続的なSEO/コンテンツの蓄積

継続的なユーザーフィードバックのイテレーション

BabyVideo.aiも常にイテレーションを続けています。編集もデザインも複雑な学習もなく、Webページを開くだけで共有可能な結果が得られる、「誰でも簡単に赤ちゃんをテーマにしたコンテンツを作成できる」ツールになることを願っています。

 

babyvideo.ai