みなさんいかがお過ごしでしょうか、ドラムのきっくです(´ ・ω・ `)
 
 
 
ちょっと昔話でもしようかな。
 
 
 


友達が少ない俺でも、昔よく遊んでた奴って居て、タツヤもその1人。


こいつ誰よりも映画とか音楽とか好きで、行くたびに新しいの音楽に触れれたし、俺はこいつと遊ぶのが好きだった。


俺の音楽のルーツって言っても過言じゃないかも。


親が金持ちだったのかな?不自由には見えなかったし、いろんな奴とつるんでるのをよく見かけてた。


でも、別れって突然やってくるもので、タツヤんち行ったらもう家じゃなくなってた。

なんてゆーか、夜逃げしたような、もう空気が動いてなくて、人は居ませんよって感じ、わかるかな。


そーいえば学校にもしばらく来てなかった。


後日たつやは家の事情で引っ越したって聞いて、俺は先生に新しい住所を聞いた。


最初はなんか渋ってて教えてくれなかったけど、俺が毎日聞くもんだから教えてくれたら、なんと隣町。


そっこでチャリ飛ばして行った。


たつやは部屋のベッドで横になってた。


好きなの持ってっていいよって言うたつやの笑顔がどこか寂しげで、いきなり何も言わず居なくなったことを責めることが出来なかった。


見なくても、聞かなくても、俺は毎日行った。

たつやがどんどん弱ってくのを、気づかなりふりをして。


俺が懲りずに行くもんだから、両親も歓迎してくれるようになり、玄関空けといてくれるようになったり。


でも母親は隣の部屋でいつも声を殺して泣いてた。


もちろんそこは気づいちゃいけないところ。


ある夏の晴れた日。



たつやの部屋には誰もいなかった。

ただベットがぽつんとあるだけ。


何も聞かない俺に、両親は、親戚のとこへ行ったとだけ伝えてくれた。


ここで泣いたら、気付いてることに気付かれると思って、目に力を入れて笑ってたら、母親がその場で泣き崩れるもんだから、俺も涙腺崩壊した。笑


もう来なくていいのかなって思って、なにも持たずに帰ったけど、次の日も、その次の日も行った。



結果は同じだったけど。




あれからもう10年以上経つ。


引っ越した俺に朗報。


その引っ越した親戚ってのが、同じ地域だった。



しかも帰り道で、毎日通ってるとこ。


まさかだけど、ほんとの話なんだ。


もし行って、居なかったら?


居ても、覚えてなかったら?


たつやが、たつやじゃなくなってたら。。


その不安を全部解消できる方法がひとつだけある。



行かないこと。



そこには、行かないことなんだ。



あの扉を開ける権利は、もう失効してる。


毎日、扉の前を通って、元気な姿を想像しながら帰ることが、俺にできる、そして俺を失望させない唯一のことなんだ。


俺が死ぬまで、きっとたつやは死なないし、俺が認識できるまで、たつやも俺を見てる。


またな、と行って通り過ぎるたび、あいつの悲しそうな笑顔が浮かぶ。


俺は元気だよ。


たつやも元気だよな。


いつか、笑顔で扉を開けられるときが来たら、また、貸してよ。


ありがと、タツヤ。