こんにちは、ないとめあです。

今日もブログにお越しいただきありがとうございます。

【この記事の要旨】
 2025年4月の底値圏でSOXL(半導体3倍レバレッジETF)を100万円買い、2026年4月まで保有し続けていれば、約1,000万円になっていました。
――もちろん、そんな方はほぼいらっしゃいません。

先日、こんなことを考えてしまいました。

「1年前にSOXLを買っていたら、今頃どうなっていたか?」

答えは計算するまでもありません。約10〜11倍です。100万円が1,000万円超。

笑えません。いや、笑うしかありません。

■ まず数字を確認します

 SOXLはDirexionが運用する「NYSE半導体指数の日次3倍」を追う米国上場のレバレッジETFです。半導体セクターの値動きを3倍に増幅する、いわば「半導体の劇薬」といえます。

時点 SOXL株価(USD) 備考
2025年4月(底値圏) $10〜12 トランプ関税ショック直撃
2026年2月(一時高値) $60〜70台 AI相場の再評価
2026年4月24日 $128.32 52週高値圏

× 10〜11倍

1年間の上昇率(底値→現在)

52週レンジは$10.75〜$130.12。年間リターンは報道によれば+1,000%超です。

100万円投資 → 約1,000〜1,100万円

現実です。後知恵ではありますが、紛れもない現実です。

■ 「保有し続ける」ことの地獄

 問題は「買って保有し続ける」という、一見シンプルな行為の凄まじい難易度です。

 2025年4月、SOXLは前年比-80%超の底値にありました。当時の市場センチメントはこうです:

時期 出来事 投資家心理
2025年1〜3月 DeepSeek・AI懸念噴出 「AIバブル崩壊か」
2025年4月 トランプ関税ショック 「半導体は終わった」
2025年後半 半導体回復・AI再評価 「でも3倍レバはもう売った…」
2026年2〜3月 再び調整・中東情勢緊迫 「やっぱり怖い」
2026年4月 半導体指数・史上最長連騰 「…知ってた(知らなかった)」
⚠️ 途中の含み損
仮に2024年末に$40台で買っていた場合、2025年4月の底値では含み損-75%前後を経験していた。100万円が25万円に見える画面を眺めながら「保有継続」を選べる方が、世の中に何人いらっしゃるでしょうか。

■ 後知恵バイアスという人間の性

行動経済学に「後知恵バイアス(Hindsight Bias)」という概念があります。

用語(確立された概念)
 結果を知った後に「そうなることはわかっていた」と感じてしまう認知バイアス。Fischhoff(1975)が提唱。投資判断においては特に危険で、過去の「正解」を自分が予見できていたかのように錯覚し、リスク評価を歪める。

「1年前にSOXLを買っていれば…」という思考は、まさにこのバイアスの典型です。

あの2025年4月、リアルタイムで見えていたのは:

  • 対中関税が半導体サプライチェーンを直撃するという現実
  • NVIDIAの対中輸出規制強化
  • AIへの過剰投資懸念と実需の乖離への疑問
  • 3倍レバレッジゆえの「もう戻らないかもしれない」という恐怖

「買い場だ」と確信できた方は、ほぼいらっしゃらなかったでしょう。
いらっしゃったとしても、含み損-70%の画面を前に保有継続できた方はさらにわずかでしょう。

それが「1年間保有していれば10倍」の現実です。

■ レバレッジETFの構造的な注意点

笑って終わりにしたいところですが、一点だけ真面目に記しておきます。

事実(構造的特性)
 SOXLのような日次リバランス型レバレッジETFは、ボラティリティ減衰(Volatility Decay)の影響を受ける。指数が±10%を繰り返すだけで、3倍ETFは元本を下回り続ける。長期保有に適した設計ではなく、上昇トレンドが持続した場合のみ「結果的に」長期保有が機能する。今回の1年10倍はあくまで強烈なトレンド相場が継続した特殊ケースであり、再現性を前提にした戦略設計は危険です。

■ では、何を学ぶか

自虐で終わってしまうのも悔しいので、少しだけ前向きな話をします。

今回の件で私が改めて感じたのは、「相場観」と「実行力」と「継続力」は、まったく別物だということです。

「半導体は長期的に成長する」という相場観は、多くの人が持っていた。
「関税ショックは一時的かもしれない」という分析ができた方も多いでしょう。

 しかし、底値で実際に買い、含み損-70%に耐え、1年間保有し続ける――この3つを同時に実行できた人間は、おそらく1000人に1人もいらっしゃらないでしょう。

 相場観は知識で鍛えられます。しかし実行力と継続力は、ルール・仕組み・そして自分自身の感情との闘いです。

「次の底値では買えるようになりたい」――そう思うのは簡単だ。
 では、次の暴落でパニックになっている自分に、今日の自分はどんなルールを渡せるでしょうか。それを考えることが、今回の「1000万円になっていた話」から得られる、唯一の実践的な教訓だと思います。

・2025年4月底値〜2026年4月のSOXLは約10〜11倍(確認済み事実)
・100万円 → 約1,000万円超(計算上の事実)
・「買って保有し続けられた人間」は、ほぼ存在しない(推論・体感的確信)
・後知恵バイアスは誰にでも働く。自覚することが第一歩
・レバレッジETFの長期保有は「結果論」であり、戦略の前提にすべきでない

「知っていても持てない」――これが相場の真実です。

 

では、また!