君へ
1995年3月24日 ビクターよりリリース 「唄」カップリング
この曲、好きです。
確か、初めて買ったBUCK-TICKのシングルはこれです。
最初は借りたんですけどね、我慢出来ずに買いました。
しかし、現在はケースだけしか手元にない…何故だ。
曲は、この頃のハードロック路線の象徴みたいな感じです。
テンポはそんなに早くない。どっしりとしている…が、ほわんほわん(ワウっていうんですかね?ギターがワウワウいう)してます。
で、なんかやたらしっかりしたギターソロがあるなと思ったら…これ、星野さん作曲なんですね。
この曲に限った事じゃないですが、星野さんって、この頃位まではけっこう歌もの中心だったと思うんですよ。
いや、今もなんだけど、今井さんが面白い事をしている間に、星野さんは堅実に王道路線を行くという。
それが、途中から歌ものじゃない…声も楽器状態みたいな曲も出てくるわけですが。
しかし、この曲のメロディは好きです。
ギターのリフすらメロディアス。
ギターソロ前とかサビ前のタメ、私の中のタメ選手権(?)では一位ですよ、これ。
あと、最後のサビが終わって「目を閉じて さあ」の後や、間奏中、もっと言えばAメロ歌い終わりの区切りとして出て来るユニゾンのリフが、すごく好きです。
で、櫻井さんの吐息混じりのAメロの歌い方とかね…本気で好き。
なのに、この曲は…噂によればライブで一回もやったことが無いそうですね。
聴いた事ある方、いらっしゃったら情報下さい。
さて、歌詞。
以前、「Coyote」の事を書いてる時に、この曲と似ているみたいな事を書いたと思います。
今、まともにこの曲と向き合ってみますと…。
こっちの方が「Coyote」だと言われれば、そうだなと思ってしまいますね。
何故かと言えば、「ライフル」「この牙」「この爪」「最後に月へと吠えた」辺りに、そう言った空気を感じてしまうからなんですが。
感覚としては、こちらも死んでしまおうとしている、その最後に「君」を思い出している歌なんだなと。
「Coyote」は、もっと別の見方をしましたけどね。
ただ、不思議な所が何箇所かありまして。
コンクリートの森でこの爪はボロボロに会いたい
という詞。
これ、どこで区切っているんですかね?
区切りなしで一気に読まなければならないとするならば、「会いたい」と意味が分からない。
「爪はボロボロ」な目「に会いたい」みたいな。変な感じです。
だから、「ボロボロに」で区切って、「会いたい」と。
「会いたい」は、その後の「何処へ行けばいい」に繋がるんだと思われますし。
そういえば、最後の行。
ちゃんと歌われてませんね。
まるで、そうしたいと思っていたが途中で力尽きてしまったかのような。
月世界
1998年5月13日 マーキュリーよりリリース
月とは、夜の象徴であると共に、精神の象徴とも言われております。
また、古事記に出て参ります天照大神、月読命、須佐之男命という三柱はそれぞれに象徴される世界が存在しました。
天照大神は天(高天原)、須佐之男命は根(出雲の事ですが、所謂人界)を、そして月読命は地(黄泉)という様に。
つまり、生命力の象徴である太陽の対である「月」は、逆に死の象徴であったりもします。
で、なにが言いたいかと言えば…なんですが。
まずは曲のお話から。
随分と神秘的で、しかし涙線に来ます。
間奏後の「赤 黄色 向日葵」の後ですね、押さえられた曲調なのに盛り上がる。
不思議な曲です。
櫻井さんは淡々と歌い続けていますし、楽器隊も淡々としていますが、唯一の高音の歪んだギターソロが入っているおかげで雰囲気ががらりと変わります。
何といいますか。この曲は、水の音がします。
変な事を言っているかもしれませんが、水の中にいるみたいな気持ちがします。
そういえば、このPVは、一度しか見ていません。
あれは…色々と笑ってしまって駄目なんです。
曲は良いのに映像がぶち壊す。
いや、雰囲気はすごく好きなんです。
好きなんですが…なぜ、本気で宙吊りにしたんですか。
気分を変えまして、歌詞のお話。
最初に「月」の話をしています。
この曲は、櫻井さんがS字結腸(腹膜炎)で入院していた時に今井さんが持参したんですよね?
で、出て来た歌詞は、色彩と暗闇です。
命が危なかった時の事を書いてるんでしたっけ?
そんな話を聞いたものですから、思わずそう連想して「月」の話をしたんですけどね。
一人、暗闇の中で漂い、また、走っている。
あちら側には極彩色の世界が見えているが、こちらは月の光があるだけの暗闇である。
そこを、「あなた」を求めて彷徨う自分がいる。
そう受け取りました。
見たまんまなんですけどね。
しかし。曲もゆっくりですし、櫻井さんも淡々と歌っているはずなんですが、何故か焦燥を感じてしまいます。
逢わなければ、と必死でもがいているような気がします。
月の光が照らしているのが、極彩色の死なのか、それとも「あなた」という生なのか。
それとも、実は逆だったりして。
極彩色の生と、「あなた」の死。
どちらにしても、不思議な曲です。
My baby Japanese
「月世界」カップリング
なんか、割れてますね。
ひび割れています。これ、星野さんなんだ…。同期モノっぽいですね。
ベース、ずーっとループな気がするんですが、気のせいですかね。
ちゃんとサビにメロディがあるのが星野さんらしいんですが、それ以外はまともなメロディが無いです。
緊迫した空気で、重たいです。
しかも、最後がばっさりあっさり終わるので、結構びっくりします。
で、詞のお話。
愛おしい日本人という事ですが。
なんか、ごめんなさい。
気持ち悪いです、この歌詞。
詞のレベルとしては、凄いな~と感心してしまうんですけどね。
真心に渦巻いた 欲望というマグマ
とか、
砂糖の山の道徳
とか。
主役は「あの子」なんでしょうが。
これ、読み解けないなあ。
私の中に、これっていう何かが全然来ない。
分からないんじゃないんですが、色々考えてしまってですね。見えて来ないんですよ。
色としては、「MY FUCKIN' VALENTINE」のような、当時の日本という世相を歌っているんだと思うんですけどね。
ちょうど、1996年から1997年といえば、地下鉄サリン事件や神戸連続児童殺傷事件があった頃でしたが…。
それ以外でも、かなり病んでいる(それは今もですが)年代でした。
しかし、なんで気持ち悪いと感じてしまうんでしょうかね。
BRAN-NEW LOVER
1999年7月14日 マーキュリーよりリリース
なんとポップで可愛い曲なのか!
良い曲です。打ち込みとか入っていますが、いたってシンプルです。
これ、今井さんの曲なんですが、この曲を生み出すまで、今井さんは「人生最大のスランプ(自称)」だったらしいですね。
で、市川さんが「やーい気にしぃ」とおちょくって完成したんでしたっけ。いや、たぶん冗談だと思いますけどね。
一番最後のサビが、なんか爽やかです。
この曲のPVも好きです。
樋口さんなんか、一瞬しか顔が出ませんが、怖い事になってますしね。
何よりも、魚眼レンズを食べてしまおうとする櫻井さんが面白い。
しかも、その後のショットがニヤニヤしているもんだから、釣られてこっちもニヤニヤ。
この曲のメインテーマっていうのは、最後が来ても、また会えるよ~って事でいいですか?
しかし、この曲の発売日は…狙ってたんですかね?
歌詞の中にですね、
世界の終わりなら真夏の海辺
というのが出て来るんですけどね。
発売日、よく見てください。
今の十代は知らない人が多いですけど、現在の20歳から上の世代の殆どは、小さな頃に必ず教えられてたんですよね。
何がって?
ノストラダムスの予言をです。
内容、覚えてますか?
1999年7か月、
空から恐怖の大王が来るだろう、
アンゴルモアの大王を蘇らせ、
マルスの前後に首尾よく支配するために。
これは、ノストラダムスの予言集(百詩篇)の例の部分を直訳したものです。
別に、人類滅亡とは書いてないんですがね。
これを人類滅亡として世に広めた人が世界中にいました。
日本だと、五島勉ですか。
私も、小学校くらいの時に読みました。
結局、この予言が何だったのかは分かりません。
しかし、ちょうど20世紀の終焉という事で、世界に、所謂終末思想が巻き起こっていた時代でした。
しかも、今回は1000年(ミレニアム)の終わりという事もあり、余計に敏感になっていたと思います。
1000年という節目なんて、よく考えたらなかなか立ち会えないですけどね。
…考えたら、感動してきた。
本当の20世紀の終わりは2000年だったんですけどね。
それを、櫻井さんがうまくくみ取って書いた詞が、この「BRAN-NEW LOVER」なんですが、これを酷評したライターさんがいましたね。
名前知りませんけど、読んだ覚えがあります。
今井さんにBUCK-TICK解散を勧め、櫻井さんが相当気に食わなかったのか櫻井さんをこっぴどく書いていた人でした。
この人、今、なにしてるんでしょうね。
感じ方は人それぞれなんですが、このライターさんのライナーを読んだ時、頭に来ました。
ちなみに、まだBUCK-TICKファンじゃない時に読んだんですが。
ま、いいか。
パンドラの箱といえば、最後に「予知」を残して災厄を振りまいた箱でしたね。
その「予知」とは、己の死期がいつ来るかが分かるっていう能力です。
世界中に災厄が振り撒かれても、「予知」を箱の中に閉じ込めた事により己の死がいつなのか分からないから生きていけるという事で、パンドラの箱に残った最後の存在が「希望」とされているんですね。
それすら開け放てとは。
まあ、どうせ予言通りなら死んじゃいますしね。
ただ、
人間にはさようなら いつか来るじゃない
この宇宙でもう一度 会える日まで
って、すごく「希望」を感じませんか?