13秒
作曲も編曲もないですが。
この「13秒」。かなりの曲者です。
アルバムタイトルにも絡めてあり、「降臨」の詞にも絡んであり、無音トラック。
さて真相は?
【2009年6月27日 追記】
「13秒」に関する文章は、以下のリンクからどうぞ。
ROMANCE-Incubo-
先行シングルとして発売されました。
私が聞いていて、ここがシングル盤と違うと思われた箇所。
・ギターのエフェクトの処理が、シングル盤よりも歪んでいる
・今井さんのコーラスや、Bメロの「ああ」のサンプリングがエフェクトの処理でやっぱり歪んでいる
・間奏の最初が何か違う
・間奏後のBメロのメインボーカルの後ろで聞こえる櫻井さんの悲鳴(?)が聞き取り易くなっている
・「ロメーンス」
この位です。
シングル盤は全ての音がクリアだった為美しくも切ない曲だったんですが、こちらは歪んでいて悪い夢を見ているような感じがします。
タイトルに「Incubo」と付いている位ですからね。
この曲、一番好きです。
今井さんが、こんなに切なくて綺麗な曲を書くとは思わなかったんですが。
そういえば、今井さんのコーラス。
櫻井さんと声が混じると随分渋くてアダルトに聞こえるんですね。
最初は櫻井さんかなーと思っていたんですが、やっぱり今井さんの声がハスキーなので、同じ低音でも違いが出てくるんですね。
それから、「ああ」。
この「ああ」を、ここまで艶っぽくメロディに乗せられるのは櫻井さんしかいませんよね。
何回聴いても飽きません。
古今東西、様々な人たちが「ROMANCE」に思いを馳せ、曲を作り上げて来ました。
「ROMANCE」。
恋物語と解釈しているのですが、実際どうなんでしょうかね?
ROMANCE(wiki)
ロマンス(romance)は、本来は「ローマ的」という意味。
中世ヨーロッパでは、正式な古典文化を意味する「ラテン」に対し「民衆のもの」という意味合いがあり、そこから以下のような意味が派生した。
・空想的で大衆向けの小説、物語。
恋愛小説を現在では特に指す。
中世騎士物語
史詩(中世スペイン文学の一ジャンル)
・恋愛話、恋愛事件。
・ロマンス諸語は俗ラテン語を起源とするヨーロッパの言語の総称。
・ロマンス (音楽) は、自由な形式の甘美な楽曲。
そ、そうだったのか…!知らんかった…。
甘い恋とか、そんな感じだと思っていたんですが。
もともとは「ローマ的」。
知らない方が良かったのかも知れないが…。
ま、いいや。
さて、歌詞を見てみます。
この曲と、櫻井敦司ソロの「愛の惑星」に入っている「新月」という曲。
先に知ったのは「ROMANCE」です。
あとでソロを知ったわけですが(すんごいびっくりしました)、これ、ほぼおんなじ事を歌っているような気がしました。
でも、実は違うような気も。
どちらも「異形の存在」であり「叶わない恋」をしているという点は共通しているんですが、結末と、「異形の存在」の心の有様が違う気がするんです。
では、こちらの「僕」は、どのように叶わない恋をして、最後にどうなったのでしょうか。
間奏前までの歌詞は、「僕」が「花嫁」に恋をしてから現時点までの状況を書いていると読みました。
そこから読み取れる「僕」の性格は、可笑しな話ですが、「無邪気」です。
黒いドレスで待っていて欲しい
花を飾ろう 綺麗な花を
無邪気というか、「君」と共に闇を生きる事に関してなんら疑いを持たず、相手がどう思っていようがお構いなしの空気を感じてしまいました。
この詞が結構好きなんです。
ああ 君の首筋に深く愛 突き刺す
この詞だけで、「僕」が何者なのかがよく分かります。
彼は、自分が彼女に恋をして、彼女と共に生きていく為に、彼女を彼と同じ存在にしてしまおうとしているんですね。
あくまでも、己自身の欲求を満たす為に何をしてしまおうとしているか分かっている。
その事は、「天使が見ているから~」の詞に表れていると思います。
次の歌詞は、表現としては素敵ですが、紐解くとこんな感じなんじゃないでしょうか?
ああ そしてひとつは君の瞼の横に
ああ そしてひとつは君の死の窓辺に
つまり、花嫁である「君」を飾り立て、同時に「君」という「人間」の「死」に花を手向ける。
なんか怖いですね。
で、ここからが問題です。
間奏後の歌詞に行きます。
ああ そして最後の場面が今始まる
何の最後か。そして、現在進行形で始まるという点。
謎です。分かりません。
「僕の胸に」ナイフが食い込むらしいんですが…。
そう深く…
の後に、「さあ深く」が出て来ます。
なんというか、よく分からないんですが、その時点でナイフは刺さっているのでしょうか。
いや、刺さっていると仮定して「さあ深く」と挑発している…ような。
で、次の「ああ 今夜も血が欲しい」で混沌の渦。
「僕」は死ななかったのでしょうか?
それとも、実際は物理的に「ナイフ」が刺さったわけではなく、強い拒絶にあったとか?
それとも、全ては「僕」の望み?
本当は死にたくて仕方がなく、愛する「君」に殺して欲しくて「さあ深く」?
おそらく、生きてしまったのではないかな?
もしかしたら、最初から「君」は死んでいるのかもしれませんね。
「眠り続けている」のですし。いや、生きているのかもしれませんが。
そういや、サビの事をほとんど無視してしまってました。
「跪き祈りの歌を」捧げているのはもちろん「君」なんですよね。
「ああ いつしか腐りゆく 跡形も無く消えてゆく」のは、この恋であり、全ての事柄なんでしょうね。
長く生き続けた末の「諦め」を意味しているような。
「ああ 今夜も~」も、己の存在を悲しんでいるような。
私の出した答えなんですが、「僕」は生き「君」は死に恋は終わった。これでいこうかと。
詞が、どことなく前後しているような気がするので。
(追記です。この間、某動画サイトに櫻井さんのインタビュー映像が上がっていたので拝見していたのですが、「ROMANCE」に関する話が出ていました。曰く「吸血鬼である彼なりの「ROMANCE」。血を得る為に、愛だの恋だのを使う。その恋について書きました」だそうで。かなり意訳しましたけれど。…そうなのか)
seraphim
また随分と遠くから聞こえるような。
色んな音が混じっていて、それぞれに集中して聴くと、色んな発見があります。
そんな中、あんまり目立たない音ではありますが、チェレスタの音がします。
聴いている分には、随分可愛い曲だなと思います。
イメージとしては「王国」ゴシック編みたいな感じです。
「夏 喰う(空)」の「くう」の歌い方がかわいいかわいいかわいい。
一番詞が短いです。
今作唯一の今井さんの詞でございます。
…冬は無いの?
では参ります。
この詞を読むにつけ思うのですが、まるで、どこか遠い所から眺めて歌っているような。
「血を吐く」を「死」、「這いずる」を「生」と考えて、それを遠くから見ている存在。
タイトルが「Seraphim」。セラフィムとは?
私の中では、天使の中でもトップクラス(ミカエルら四元素の天使と「神の声」メタトロンとか)な気がします。
で、調べてみたところやはりそうでした。
セラフィムとはセラフの複数形であり、天使の階級でもトップであるそうな。
そんな存在が、遠い所から人間達(や森羅万象)を見ている歌…という解釈です。
「秋は異形」ってなんでしょう。
「サヨナラだ」を強引に「冬」と解釈します。
「春」を目覚め、「夏」を活動、「冬」を眠りに当てはめるとあら不思議。
「秋」は何にあてはまりますか?
だから、「異形」なのでしょうか?
夢魔-The Nightmare
来ました。今作中もっとも今井さんらしい曲。
イントロが荘厳で、今にも魔王が来そうな気配なのに、リズムがやたらダンサンブル。
クラブっぽくなってます。
だからなのか、間奏中に転調する所で凄い疾走感を感じるんです。
暗闇を走っているような。
間奏後、最後のサビは圧巻です。
普通にライブで歌ったら酸欠起こしそうな位に、隙間が無い程たたみかけてくる歌。
ライブで聴いた時(「PARADE」でした)は、なんだか櫻井さん苦しそうだったんですが。
歌も曲も、一緒くたになって襲ってくる感じがしていいです。
詞がですね、追いかけて駆け抜けて空飛んでく感じなんですが。
曲に疾走感があるからか、逆に「我」が何かに追いかけられているような印象です。
好きです。最後が特に。
で、歌詞についてなんですが、これはどう解釈すれば良いのでしょうか。
「魂」である事はよく分かります。
分かりますが、では何の「魂」なのか?
「追い駆けて」いる時は「狂人」。
「想」う時は「盲人」。
様々な世界を駆け抜ける「魂」。
感覚としては、人間ではない魂なんですが。
ごめんなさい。歌は好きなんですが、読み解こうにも、これだという答えが出ている気がしてなんとも書きようがありません。
森羅万象の「魂」。これかなと。
人であり異形であり獣であり善であり悪であり。
でも、「夢魔」。
ん~…。
そういえば、新しい一人称が出て来ましたね。
「我」。
まあ、「僕」も「俺」もおかしいですわなあ。この曲では。
DIABOLO-Lucifer-
シングル「ROMANCE」のカップリングですね。
そして、やっぱりバージョン違いです。
この曲も処理がかけられている為に、なにやらレコードを聞いているような感じがします。
ギターソロが小粋です。
なんか、イヤホン左側でオルガン(足で鞴押さないと音が出ないタイプの)の音がします。
随所にはいるパーカッションが意外とまぬけに聞こえて、本当に廃れた劇場みたいです。
櫻井さんの歌い方も、胡散臭いです。
今井さんのコーラス。妙に色っぽい…というか、声混じりの溜息をしている所があるんですが、本当、けだるくてイヤラシイです。
最後の「貴方の闇に」直前からいきなり音がクリアになって、まるでショーのフィナーレみたいなテンポアップになるんですが、あれを思い出しました。
宝塚とかの最後、お客さん達に向かって歩いて行って頭下げるあれ。
でも、不思議なのは、詞は「ショーの始まり」なんですけど。
なんで、歌入りの最後に持ってきたのかな?
まるで、今までは全部劇でした~といわれているような。
その答えが、おそらく次の曲です。
支配人。
もうその一言。
しかも、物凄く妖しい。
もう、ざっと読んで、その真意とか関係なく「暗黒劇場」とかわけのわからないことを考えました。
歌詞の所々に隠れているエロス。
抽象的な言葉。
呼び寄せる支配人は、本当にこんな感じなんだろうなと思いました。
ここまで聞いて、「闇」へようこそと言われているような気にもなりますし。
ほら天使が泣いている
この部分をどう読むかに興味が湧きました。たった今ですが。
「天使」を聖なる存在として考えて、この曲でどっぷり「闇」に浸かってしまった誰かに対して、「もう帰れない」とその身を嘆いて泣いてやっているのか。
「天使」を無垢な存在として考えて、この曲でどっぷり「闇」に浸かってしまった自分に対して、「もう帰れない」とその身を嘆いて泣いているのか。
どちらも対して意味は変わりませんけれど。
「闇」は誰もが持つ部分です。そして、知りたがる部分です。
それを、この場では吐き出しても良いんですよ。それこそ死ぬまで。
こういう書き方を、櫻井さんしてなかったですよね。
面白いです。
WHO'S CLOWN?
あの13の音階が遠くに聞こえ、まるでもう眠る時間を告げられているような感じがします。
「DIABOLO」の時点でさよならを告げられて、さて帰ろうか、なんて思っていたら実は…。
という、この曲の構成はとんでもないです。
ホラー映画によくある、殺人鬼は実は生きていた的な曲の展開に、思わずニヤリとしてしまいました。
あの主題が、以前にもまして禍々しい気配を漂わせながら、13の音階と共に追いかけて来ます。
今井さん。遊び過ぎです。