2005年4月6日 BMGファンハウスよりリリース


BUCK-TICKの出した楽曲にだらだら感想を書くCD感想文。
ついに、やっと、このアルバムが来ました。
BUCK-TICK初(?)のコンセプトアルバムです。
テーマは「ゴシック」。
なぜ、「ゴシック」なのか?
このアルバムリリース前の2004年と言えば、櫻井さんのソロプロジェクトがありました。
櫻井さんは多くのコンポーザー、ミュージシャンに支えられ、ライブも行いました。
そのソロプロジェクトのテーマの一つが「ゴシック」だったそうです。
さて、そのリリース作品を聴き、ライブを見た今井さん。
「ちょっと違う」(この辺曖昧です)
と思ったそうな。
そして、「俺ならこうする」と言う事で、「ゴシック」を全面に出したアルバムを作りだしたそうです。
つまり、「BUCK-TICK楽器隊の櫻井敦司プロデュースアルバム」って事…なんですかね?
さて、この「ゴシック」。
私には意味が分かりません。
「悪の華」の時もそうだったんですが、用語分かりません。
で、調べました。
ゴシック(wiki)
ゴシック(Gothic)は、中世ヨーロッパの美術形式を示す用語、及びそこから派生した言葉である。
原意は「ゴート人の」を意味する言葉である。
ルネサンス期の15-16世紀に、イタリアの美術家アントニオ・フィラレーテやジョルジョ・ヴァザーリらが、中世時代の美術を粗野で野蛮なものとみなして、「ドイツ風の」あるいは「ゴート風の」と呼んだことに由来する蔑称である(ゴート人が実際に用いていた美術様式という訳ではない)。
中世の教会建築、絵画などの様式を示す概念になっていった。
ルネサンス期以降、ヨーロッパでは古代ギリシア・ローマの美や文化が理想とされ、暗黒時代とされた中世の文化には低い評価が与えられてきた。
ゴシックが再評価される契機となったのは、18世紀末以降になって中世風(ゴシック風)の建物を舞台にした幻想的な時代小説(ゴシック小説)が出版されるなど、人々の間に中世趣味が広がってからであった。
19世紀になってロココ様式や新古典主義に対する反動から、中世の時代へ関心が向かい、建築を中心にゴシック様式を回顧的に用いるゴシック・リヴァイヴァルが生まれた。
イギリスの国会議事堂はその代表的な建物であり、一般の邸宅もわざわざ中世風の様式を取り入れ、建てるものもあった。
ほう。わかんね。
「ゴシック」と言えば、マリスミゼルを思い出しますね。
今作。インスト4曲、歌入り13曲、無音1曲(?)計18曲収録されております。
歌入り13曲は…偶然なのでしょうか?
もし、それも計算だったとしたら、今井さん恐ろしいですよ。
また、歌詞についてなんですが、思い起こせば、ここまで一曲一曲に何がしかのストーリーが明確に存在する歌詞はありましたかね?
いや、あるんでしょうが、ここまで特化したのは無かったんじゃないでしょうか。
ストーリーというか、物語?話を読んでいるような。
しかも、散りばめられているのは「異形」「狂気」「狂乱」「諦め」「願い」「叶わぬ愛」「生きる」などなど、キーワードが多いです。
私が馬鹿だからかもしれないですが、果てしなく話が広がり、「こうかもしれない」「ああかもしれない」と、いつも以上に想像(妄想)を掻き立てられます。
さて、そんな「十三階は月光」に対して感想を書かせて頂きます。


ENTER CLOWN
「十三階は月光」のオープニングを飾る今作のテーマであり、また、このアルバムを物語というならばその導入部でもあります。
古めかしいドラムロールの後に続く、おどろおどろしいテーマ。
このテーマ(主題)は「Lullaby 」を除く3曲に入っています。
イメージとしては、見世物小屋とか妖しいサーカスでしょうか。
今井さんの凄い所は、おそらく生楽器と電子楽器を合わせて使っていらっしゃるのでしょうが、何故か全てが生楽器に聞こえるように音を作った所です。
この辺り、なんとなく今井さんの本気が垣間見えるようです。
曲が進むと、最初のおどろおどろしさが薄れ、若干コミカルに感じられる部分も出て来ます。
それでも、最後には聞いているこちら側を悪夢に誘うかようにおどろおどろしいテーマが復活して、曲が終わる…わけですが。
この最後の辺り。左右で交互に聞こえる単音。皆さんはお気づきになりましたか?
言葉にするとおかしいんですが、「てとてとてとてとてとてとてん」(なにこれ)と聞こえるあれ。
13音なんですよね。細かいところまで、今井さんはいい仕事をしております。


降臨
イントロがまたおどろおどろしいです。
闇夜を思わせるようなベース音と、時を刻んでいるかのようなドラム。(これ、シンコペーションっていうんでしたっけ?)
静かに始まり、「歌う」所で音が大きくなるっていう強弱が凄く好きです。
曲の構成が本当に不思議で、サビがどこなのかと思ってしまいます。
「歌う」の部分なのか、「目覚めるがいい」の部分なのか。
「大地が唸る」からラストにかけての盛り上がり方が半端ないです。
凄く胸にくるものがあります。
サンプリングのコーラスとパイプオルガンを含めた全てのパートの音が混ざりあって、本当に歌を歌っている様に聞こえます。
しかも、荘厳で力強い。
そして、悲しい。
夜に目覚める悦びを歌っているはずなのに、なんでこんなに悲しいんでしょうか。
櫻井さんの歌い方が、なんだか今までと違います。
よくある例えで「魔王」がありますが、櫻井さん、そんな感じです。
重々しく、力強いです。
続きまして、歌詞について。
たった一行の凄さ。
意味がわかりますか?
では、上から読んで参ります。
この曲、今作の中では一番情景を思い描ける曲だと思います。
それぞれ思い描けるんですが、この曲は凄い。
まず、初めの4行と曲の相乗効果なのか何なのか、異常な静けさを感じさせます。
音がするのは、恐らく「針は震え」の所だけ。
「午前零時」と書いただけでも「真夜中」で辺りは静かだと分かるのに、更に「獣たちは 息を潜める」と続きます。
「息を潜める」時ってどんな時だと思います?
人でしたら色々なシチュエーションが思い描けますが、「獣達」は?
おそらく、隠れて獲物を監視する時と、何がしかの脅威から逃げる為に隠れた時だと思うんです。
そして、「午前零時」から「針が震え」て「十三秒を過ぎ」た時に「その時」がやって来ます。
その「十三秒を過ぎ」た後、何の時が来るのでしょうか?
次に来る歌詞に注目してみましょう。この詞が、「たった一行の凄さ」です。
 白蓮の浮かぶ 水面が揺れる
「白蓮」と聞くと、思い浮かぶのが「清浄」「聖なる花」なんですが、それが浮かぶ「水面が揺れる」という描写に、なにか良くない物が訪れようとしていると思い描く事が出来ます。
「清浄」なものを揺るがす存在。対といえば「不浄」しかないですから。
たった一行でそれを書く櫻井さんは、おかしい。(いや、褒めてるんです)
その後、答え合わせみたいに「外道」「悪魔」と言葉が続きます。
「産声」は、「夜」なのか「魔王」なのか分かりませんが、「降臨」の言葉から連想するに、「闇を支配する存在」だと思うんですね。
歌詞中に「十字を飾る 血塗られている」と出て来ます。
血塗られた十字が示すもの。「闇を支配する存在」。
私が想像したのは、「ルシフェル」です。そういや、「DIABOLO」も悪魔を指す意味に使われますし、そのサブタイトルって「Lucifer」でしたね。
曲感想の時にも書きましたが、「我等」が歌う歌を悲しく思えるのは何故でしょうか?
そこで想像してみました。世界平和に努められるかどうかは分かりませんが。
忌み嫌われる「外道」や「悪魔」。
「声高らかに」存在を歌いあげる「我等」。
最後の詞は、
 もがき 産まれ
 足掻き 歌え
です。
もしかすると、「闇を支配する存在」の目覚めの歌でありながら、私達「人」の歌なのかもしれません。
想像なんで、この辺スルーして欲しいんですが。