1996年6月21日 ビクターよりリリース
前作、「Six/Nine」後に発売されましたこのアルバム。
前作とは違い、とてもポップな仕上がりになっております。
妙に明るい「キャンディ」、セクシーな香り漂う「チョコレート」、次作「SEXY STREAM LINER」の「MY FUCKIN' VALENTINE」に通じる打ち込みとノイズ全開の「Living on the Net」など、まさにバラエティに富んだアルバムです。
前作とのあまりの落差(テンションの違い)に、ファンの皆様も驚かれたのではないでしょうか?
そんなアルバムについて、一曲毎に感想を書かせて下さい。
Maria
もう、イントロから引き込まれそうなノイズ音から、ギターリフが現れた時にはもう虜でした。
テンポはそんなに早いわけじゃないのに、ベースの音が跳ねているのと、ドラムのオカズが多いせいなのか、結構早い感じがします。
詞についてですが、ここまで現在進行形並に「恋」を書いた事、あんまりないですよね?
書いても、どこか報われてない感じがしていた様に思います。
しかも、「殺されても 君を許そう」と言っていて、「お前は逃げられない」ときたもんだ。
ここまで受け身で強気な詞、あんまり見た事無いですよ。
でも、やっぱり櫻井さんですよ。
「醜悪で美しく」、「ブクブクと」、「ダラダラと」、「心のドス黒い血」…。
こんなこと書いても、やっぱりかっこいいな~。
キャンディ
この落差…。すごいですよ。
最初に書きましたが、前作が非常にへヴィーだったもんですから、なかなか驚かされました。
買ったの最近ですけどね。
アルバム中、シングルカットされたのはこの曲(c/w「チョコレート」)だけだったと記憶してます。
シングル盤バージョンに比べ、ノイズが格段に増えて、ギターの音まで歪んでます。
最初は「えらくうるさくなったなあ」程度にしか思えなかったのですが、今では、シングルの方を聞くと物足りないです。
洗脳だ…。
さて、「キャンディ」がクスリの隠語っていう話はご存じかとは思いますが、実際はそうではないんじゃないかと。
クスリを服用してトンでる歌詞の様なイメージは無いです。
普通に恋の歌なんだろうなと。
だいたいトンだ事ないですしね。
チョコレート
「アー ギヴ ミーチョコレート」の「アー」の所があんまりにもエロいです。
櫻井さんは罪な人です。
そう、サビが「アー~」の部分で、そこのバックコーラスは星野さんですよね。
この曲は、やっぱりリフがかっこいい。
ロックンロールな感じです、私の中では。
さて、この曲のタイトルもクスリの隠語。
歌詞は、多分トンでるところを唄ってるんですよね。
しかし、一番最後の「Ah I'm in the Rest room」は…。
トイレ…ですよね?
何故にトイレ?もしかして、バッドトリップしたとか?
もし、ほんとにトイレなら、曲はカッコいいのにえらい間抜けな歌詞になるような。
SANE
リズムがすごくかっこいいです。ドラムが。
とくに、曲の終りとか。
英詩の部分と日本語部分の差も好きです。
浮遊感が好きです。
詞については、どうして英語で書いたのかな~と思ってます。
まだ訳してないんですけど。
ただ、最後に近付くと発音が跳ねてますよね。
イントネーションがちょっと違うというか…、もっと言語的になっているというか。
でも、やっぱり櫻井さんの声は良い。
「To the bottom~」とか、「Give me something~」の所。
櫻井さんの声に被って、もう一人声聞こえますけど、あれは今井さんなんでしょうか?
Tight Rope
好きです。もう、すごい浮遊感で。
途中からテンポが変わる所が鳥肌ものです。
もう、綱渡りしてるっていうより、宇宙遊泳してるみたいですよ。
心の中の曲かな~と私は思います。
「死の匂いだけが頼り」なのは、なんなんでしょうね?
死ななければ会えない人に、会いたいって思っていたんでしょうか。
綱を渡るっていうのは、やっぱり心の綱なんでしょうかね。
綱を渡り、落ちてしまえば現実世界。
「君」は空中ブランコに乗っていて、「僕」は綱を渡っていこうとしている。
「綱」っていうのは、「生」と「死」のボーダーなのかな?とも思いました。
でも、なぜ最後の「この宇宙を泳ぐ あなたと 夢の果てで逢える?」の「逢える」に「?」がついているんでしょうか?
ほんとは逢えないと、思っているからなのかもしれませんね。
idol
イントロのフェイドインから、なんか機械音みたいな音が聞こえて、ドラムの音がするとほんのり幻想的な、でも無機質な雰囲気の曲ですね。
サビに入った時の、曲の解放感とか良いです。ちょっぴり涙腺も刺激されますし。
詞についてですが、色々解釈出来ますよね。そして、少し難しい。
初め、歌詞を読んでいた時に思ったんですが、「白い病室」で「縛られていた」というのは一体何を意味しているか考えたんですね。
単純に考えれば、精神的に病んで入院している、しかも、暴れるから(錯乱等)「縛られている」って考えていました。
ですが、後半になって、「怖がらず 君は神になるだろう」という歌詞を読んで、もしかして違うのかな?と思いました。
病んでいる事は病んでいるんだろうと思います。でも、そこはかとなく、自問自答している気がしないでもない。
もともと、「白い病室」で「縛られていた」のは誰なのか?っていう疑問もありました。
でも、不思議ですね。病室で縛られているのに、目の前に薔薇の花園。
白い病室と薔薇の花園は、どちらも精神的なものの象徴かも知れません。
でも、針が突き刺さるとかあるしなあ…。
一応、私の中では、詞の中で縛られているのも、「神になる」君も同一人物になってます。
実際、書きたい事はいっぱいあるんですけど、まとまりません。難しいですよ。
Living on the Net
好きですよ、変態度高いギターソロ。
こんなん弾くの、今井さんしかいないですよ。
ドラムも好きです。こう、リズムをつったんつったん刻んでるのも好きなんですが、私、どんどこどこどこなってんのが好きでして。
原始的なリズムが、大変好きです。
この曲、人の声(ナレーションみたいな)がサンプリングされてますよね。
ちょうど、イントロの辺りでしょうか。
「歌の神様が12時をお知らせします」と聞こえるんですよ。耳の悪さには自信があります。
後、ギターソロ直前の男性の声。結構思った人もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
「今井寿 起動します」
あの変態ソロのせいなんでしょうか?そう聞こえて仕方ないです。
ほんとはなんて言ってるんでしょうね?ご存知の方、いらっしゃったら教えて下さい。
さて、詞なんですが、また今井節というか…。
一見すると全く共通してない存在に、「共通する図形」があるって言い切る今井さんの感性には参りました。
この曲で、初めて「クラインの壺」って言うのがある事を知りました。
でも、形は知ってても、実際何なのかが分かりません。
調べてみました。
クラインの壺(wikiより)
クラインの壺は、境界も表裏の区別も持たない2次元曲面の一種で、主に位相幾何学で扱われる。
3次元空間内では実現不可能だが、自己交差を許せば擬似的に作ることができ、その形を壺になぞらえたものである。
ドイツの数学者フェリックス・クラインにより考案された。クラインの管、クラインの瓶とも言う。
表裏の区別を持たない2次元曲面には他にメビウスの帯がある。
メビウスの帯が2次元のテープ状のものをひねり表を辿っていくとそのまま裏に行き着くようにしたのに対し、クラインの壺は3次元のチューブをひねり表を辿ると裏に行き着くようにしたものである。
伸縮自在で太さも変えられる円筒を、伸ばして逆方向に曲げ、差し込むことで作られるが、それは4次元世界でのことで、3次元世界では面の交差が生じるという無理がある。
図形も見たんですが、よく意味が分かりません。
「愛」と「あの子の歯形」と「クラインの壺」に共通する図形。
それに例外があるって事なんですが、それは?
そもそも、「Living on the Net」とは?
Netって、インターネットのネットなのか、洗濯物とか入れるネットなのか。
多分、インターネットとかネットワークなんじゃないかなとは思うんですけど、では、そこに存在する例外。
二番目の歌詞に、「常識と矛盾の情報を 毒蛾の羽で撒き散らす」っていうのがありますが、もしかして、例外ってウィルスとか?
いや、ウィルスというより、悪意とか良くない存在って事ですかね?
で、ここまで書いてきて思ったのが、どんな存在でも共通点てあると思うんですよ。
でも、必ず「異端」って現れますよね?それの事で良いのかな?
ここまでだらだら書くのもどうかと思うので次いきます。
Foolish
馬鹿げている…と言う事ですが。
曲はシンプルですよね。ベースがぶいぶいごいんごいん鳴っててイイ感じです。
今井さんにしては珍しく…というか、このアルバムにおいてって事なんですが、曲構成が普通。
「COSMOS」というアルバム自体、よくある曲構成なんですよ。
もちろん、「うお?!」っていう曲もありますが。
何を言ってるか分からないと思いますが、曲の基本。
皆さんが聞く曲の殆どが、AメロがあってBメロがあってサビが来て、そのサビのキーが何よりも高くなる構成だと思います。
よく売れてる曲程(勘違いして欲しくないんで書きますが、その構成でなおかつ売れたから良い曲だとは思いません。良い曲かどうか決めるのは、あくまでもリスナーの趣味嗜好です)その曲構成なので、「サビが高音」というのが一般的になっているようです。
で、BUCK-TICKのコンポーザーのお二人はどうかというと(いつか全曲聴いて検証してみるつもりです)。
星野さん→基本的にAメロBメロサビでサビが高音(たまに変化球あり)
今井さん→なんでもあり。すごいパターンだとサビが無い。(例「darker than darkness」…いや、サビのみかもしれない)サビでキーが落ちる曲が多々ある。
あの、私が思っている事なんで、あんまり気にしないでくださいね。
そんな今井さんが、比較的サビでキーを上げる曲を多く出してきているのがこの曲であり、「Ash-ra」であり「COSMOS」であり…とにかく多いんですよ、このアルバム。
どうでもいい事かもしれませんね。話戻しますね。
詞はですね…え~っと。何とも言えませんね。
タイトルが、「馬鹿馬鹿しい」ってもうなんかなげやりな。詞も、諦めているような。
「救いなどありはしない」って書いてたりしますし。
「誰が自分か解らないまま」ってありますが、やっぱり自分の存在っていうのは誰でもそうでしょうが、「表」と「裏」、もしくは「作られた自分」と「素の自分」とあるはずなんですよ。
櫻井さんは、この時も「表」と「裏」の自分のギャップに苦しめられていたんでしょうかね。
IN
イントロが、「愛しのロック・スター」っぽい。ポップで可愛い感じ。
詞も、そこはかとなくエロス。「唇の端に ネバついてる関係」って、どんな関係なんですかね?
「アナタの売りはオーバー ザ ムーン」ってなんですか?
「オーバーザムーン」って聞くと、映画を思い出します。確か、不倫の話だったような…。
あんまり意味ないのかな…。
可愛い、キッチュ、バカっぽい。
でも、言葉の端々に「あ、やっぱ櫻井さんだな」と思う所がありますね。
Ash-ra
文句なくカッコイイです。ハンパないです。イントロのドラムからもう…。このスピード感はたまらないですね。
ヤガミさんのドラムが軽快です。ギターのリフもカッコイイですよね。曲の終わり方も好きです。ピアノの所なんですが、和音で終わるせいなのか、妙に切なくなります。
この曲も、ベースが比較的ぶいぶい鳴ってますね。大好き大好き。
詞。
混沌の渦ですね。
対になっているような感じがします。
対というか、相反する感情や事象を取り上げて、それらを合わせて一つの意味にしているような。
「あなただけを 愛していた」のすぐ後で「そして憎んでる 深く」と歌う。
「俺は生きる 阿修羅の森」と言っておきながら、そこから「逃げて逃げまくるさ お前に逢うために」と歌ってたり。
タイトルにふさわしいと思います、この混沌具合が。
そもそも、「Ash-ra」とは?一応わかってはいるんですが、やっぱり調べてみましょう。もちろん、「阿修羅」で調べてます。
阿修羅(wikiより)
阿修羅(あしゅら、あすら)は八部衆に属する仏教の守護神。
修羅(しゅら)とも言う。
大乗仏教時代に、その闘争的な性格から五趣の人と畜生の間に追加され、六道の一つである阿修羅道(修羅道)の主となった。
阿修羅とは梵語「asura」の音写。
古代インドの魔神アスラが仏教に取り入れられた。
本来サンスクリットで「asu」が「命」、「ra」が「与える」という意味だったが、「a」がサンスクリットで否定の接頭語となり、「sura」が「天」を意味することから、非天、非類などと訳され、ヒンドゥー教で悪者としてのイメージが定着した。
帝釈天とよく戦闘した神である。
リグヴェーダでは最勝なる性愛の義に使用されたが、中古以来、恐るべき鬼神として認められるようになった。
仏教に取り込まれた際には仏法の守護者として八部衆に入れられた。
興福寺宝物殿の解説では、「阿修羅」はインドヒンドゥーの『太陽神』もしくは『火の神』と表記している。
帝釈天と戦争をするが、常に負ける存在。
この戦いの場を修羅場(しゅらじょう)と呼ぶ。
日本語では、争いの耐えない状況を修羅道に例えて修羅場(しゅらば)と呼ぶ場合もある。
激しい闘争の行われている場所、あるいはそのような場所を連想させる状況を指す。
ここで注目したいのが、櫻井さんが作り出した当て字「輪廻り逢う」という言葉。
「輪廻」が当て字で使われていますが、これ、仏教用語ですよね。
上の阿修羅の解説中、「六道」という言葉が出て来ます。では、六道とは?
六道(やっぱりwikiより)
この世に生を受けた迷いのある生命は死後、生前の罪により、地獄道(じごくどう)、餓鬼道(がきどう)、畜生道(ちくしょうどう)、修羅道(しゅらどう)、人間道(にんげんどう)、天道(てんどう、天上道、天界道とも)の6つのいずれかに転生し、これら六道で生死を繰り返す(六道輪廻)と言われている。
たとえ天道であっても、苦しみの輪廻する世界を脱することは出来ない。
諸行無常の原則により、どの世界に生まれ変わろうとも、何時かは死に絶え、別の世界(或いは同一世界)へ転生する宿命。
出て来ましたよ、輪廻が。
それで思ったんですが、この曲の詞って、これがテーマなのかしらと。
かなり強引なのは百も承知で書きますが、六道=「繰り返し輪廻り逢う フロア」なんじゃなかろうかと思うわけです。
そんな深い意味なんて無いと思いますけどね。
むしろニコニコ動画にもようつべにもある、ポップジャムの「Ash-ra」の方が混沌の渦ですけどね。
面白いですよ~。見た事無い方、見て下さい。笑えます。
というか、笑うしかない状況に陥ります。
ギター道とは、弾かぬ事と見つけたり
COSMOS
タイトル通り、スぺーシーなイントロです。このほんわり音。もしやテルミン?
今井さん。今でこそテルミンをノイズ製造機の様に使ってますが(おい)、最初の頃はこんな風にまともに…いや、待て。
今井さんがテルミンを使い始めたのっていつからなんだろう…。
ミドルテンポの、優しい曲ですね。どこまでも広がっていくような、お花畑感漂う良曲です。
詞についてなんですが、もう、「血にまみれた」って。「愛」の前にそんなんつけるの、櫻井さんしかいませんね。
でも、この「血」なんですが、けして不浄の血では無いと思うんです。悪い血なんてあるのかっていう話なんですが。
妙な話で申し訳ないんですが、月経の血。あれ、元は何かご存知でしょうか?胎盤です。胎盤とは何か。赤ちゃんのベッドです。
赤ちゃんは、「血」で出来たベッドで育ちます。別に血にまみれてはいませんけどね。
見方によれば、母の「血」で作られたベッドで育つって言うのは、ある意味血にまみれてるって言ってもいいですけど。
で、「血にまみれた愛」って何かなって思うとき、何故かこの事を思ってしまうんですね。
「愛」ってなんなのか、よく分からないんですが。
もしかしたらこうなのかな、と思う事があるんですが、実際子を産んでみないと分からないかもしれません。
なので、ここから先をいつか書くとしたら、私に子が出来た時かもしれませんね。
いつになるか分かりませんが。