1992年3月21日 ビクターよりリリース


さて、狂った太陽」の次に発売されたアルバムであります今作。
なんと、セルフカバーなんですね。
「狂った太陽」以前に発表された楽曲からいくつかチョイスして、新しく曲を練り直して録り直しているわけなんですが。
「TABOO」リリース後のツアーが中断するまで、BUCK-TICKはとても忙しかったそうです。
ミニアルバムの「ROMANESQUE」など、リハーサルが殆んどない状態で流れ作業的にレコーディングされていたそうですから、やはり曲を練り直したい録り直したいという気持ちが募ったんでしょうね。
しかし、タイトルが「殺シノ調ベ」でサブタイトルが「This is NOT Greatest Hits」で随分皮肉の効いているタイトルだなと思いました。

今回、一曲ずつ書こうかと思ったんですが、全てにおいてカッコいいという言葉しか出なかった為(一応書いた)、どの辺が違うのかだけ軽く書きます。
そもそも、色んなアルバムから曲を持ってきていますので、その時その時のテイストと言う物が存在しますよね?
すごいのは、その、テイストが違う曲に繋がりを持たせている所です。
VICTIMS OF LOVE」→「M・A・D
ORIENTAL LOVE STORY」→「スピード
IN HEAVEN」→「MOON LIGHT
TABOO」→「HYPER LOVE
これらがそうなんですが、一見してどんな風に繋がっていくのかあまり予想が付きません。
でも、そこは今井さん。意外な形で繋がりを持たせてしまいました。
VICTIMS OF LOVE」のおしゃれ(?)な感じから突然不協和音が入り込み、櫻井さんの低い呟き(恐らく「太陽」と言っていると思うんですが)が入ります。
そこで一旦終了で、繋がっている様には聞こえないのですが、その後の「M・A・D」では破壊されて不協和音だらけの音楽になっていて、「あれ、実は繋がっているの?」と思わせられる仕上がりになっています。
ORIENTAL LOVE STORY」では、曲の終わり際にピロリロが始まって、そのピロリロからそのまま「スピード」になります。(もっと書きようがあるだろうが)
IN HEAVEN」は、当初何の曲か分からない感じになっているんですが、そこからおなじみのイントロが入り、で、曲の終わり際にガラスの割れたみたいな音がして「MOON LIGHT」が始まります。
MOON LIGHT」の終わりは「IN HEAVEN」の最初ですし。この2曲で1曲みたいな感じです。
ただ、初めて聴いた時はですね、「MOON LIGHT」を聞いた事がなかったので、「いつになったら『MOON LIGHT』って曲は始まるんやろうか…?」と本気で思っていました。
TABOO」の最後も違和感なく続いています。
でも、これ演奏するの大変ですよね。弾きっ放しの叩きっ放し。
「Climax Together」の時のヤガミさんの疲れた顔を思い出します。
で、曲はそれぞれの持ち味を、当時のBUCK-TICKのスタイルに合わせられた物が9割。
完全に別物になったのが1割…というか「M・A・D」一曲。
M・A・D」に関して言えば、歌メロが無いですからね。
櫻井さんが、叫んだり囁いたり呻いたりしてます。
こちらの方が、より狂っている感じを受けますね。
また、歌詞が追加になった曲もありますね。
VICTIMS OF LOVE」の「死にたくなるような けだるい夜ね」と言うのがそうなんですが。
実際、本当は何と言っているのか分かりません。
これを聞くにつけ思うんですが、BUCK-TICKは進化しているんだなと思います。
進化しているのは今もなんですけど、この時ほど、BUCK-TICKの成長(と書くと非常におこがましいのですが)が感じられた事はなかったのではないでしょうか?

これ、もう一回やってほしいなあ…。
聴きたい曲いっぱいあるんですよ~今のBUCK-TICKでアレンジというかリテイクされた曲。
SISSY BOY」とか…。
やってくれないかな~…。
以上です。

余談ですが、歌詞カードの最後の「Very Special Thanks」の「じゅぴ太(犬)」になぜか笑ってしまいました。
星野さんの飼っていた犬ですよね?