1990年2月1日 ビクターよりリリース


皆様ご存知の様に、「悪の華」とはボードレールの作品です。
読んだ事のある方、多いと思います。私も中学生の時に読もうとして、意味が分からなくて失敗しました。
このアルバムは、BUCK-TICK流「デカダンス」の集大成であるそうです。
デカダンスって何よ?言葉だけなら聞いた事ある…。
皆さんはご存知ですか?
私は分かりません。では、調べてみます。
デカダンス(仏:decadence)は退廃的なこと。
特に文化史上で、19世紀末に既成のキリスト教的価値観に懐疑的で、芸術至上主義的な立場の一派に対して使われる。
フランスのボードレール、ランボー、ヴェルレーヌ、イギリスのワイルドらを指す。
世紀末的な耽美的かつ虚無的な態度を意味する語としても用いられる。

意味が分からないよう…。
つまり、様式って事でいいんかの?
役に立ってない…。うう~ん。
このアルバムは、とある事件後初のアルバムという事で話題にもなったそうです。
事件後初のアルバムタイトルが「悪の華」で、事件の当事者が真っ赤な髪の毛でドームに立つという「え?マジで?!」というスタイルが当時の学生さん達にはとても刺激的に写ったようです。
そのドームにいたのが、Jだったりキリトだったりしてるんですよね。
そんな、次世代(90年代)に現れるバンドマンの皆様(中には俳優さんになってる方もいらっしゃるようです)の、よく聞いていたアルバムの中の一枚に位置づけられるアルバムです。
前作「TABOO」に比べて、歌詞の意味の分からなさが倍増しになっており、サウンドはカッコ良くなっています。
「TABOO」では、スピード感のある曲があまりなかったですしね。
うわ。前置きが長くなりました。
一曲ずつ感想を述べさせて頂きます。


NATIONAL MEDIA BOYS
これは、曲のテンポがよく変わりますよね。
疾走感のある曲です。PVも好きです。みんなで「OH」の口になってるあれ。可愛いです。特に今井さんが。
歌詞は…、「良かれ悪かれ~」のとこが好きです。ここにこの曲の意味があると思います。
近未来をイメージする…っていうのはよくある話なんですが、私には懐かしいという気持ちが湧きました。
「新しい」って言葉は出てくるんですけれど、100年位前の人が、「新時代の幕開けだ」と言ってるようなレトロさを、どうしても感じてしまいます。
もちろん、ライヴで聞いたらもっと違う印象になるんでしょうね。


幻の都
書いてる事が、結構お耽美です。
でも、なぜ、「Fire Dance」なのか?「Deca-Dance」に合わせてそうしたんじゃないかなあ…。
曲は、ほんとオリエンタルですね。インドとか、アラブとか。
でも…クレオパトラ…。
まあ、幻の都なんでなんでもありっぽい感がしますけど。
そういや、この頃から、「歌う」「踊る」「狂う」っていう単語が頻繁に使われてきますよね?
今や櫻井さんの十八番となった感がしますが、それが一気に入ってます。
日本語ってやっぱり不思議で、前後の言葉で、「歌う」「踊る」「狂う」の意味合いが変わりますね。


LOVE ME
詞は少ないですけど、結構どぎつい事書いてます。
「どんなに夢を見ても 気付けばいつも独りさ」の部分ですね。
曲は可愛いです。「殺シ」verより、こっちが好きです。
テンポが思った以上に早いですしね。
タイトルが「LOVE ME」の割に、言ってる事が暗いのは…なぜかしら。


PLEASURE LAND
唯一の星野さん作詞作曲。曲は、ほんとまったりというか、アンビエントっぽい?
櫻井さんの歌い方も、優しい…というか可愛い。
しかし、歌詞が抽象的過ぎます。
曲を先に作って詩を後に乗せたのか、それとも逆かは分かりませんが、神秘的です。
星野流「ファンタジー」…というか「ファンシー」?
優しいイメージですけど、少し寂しげです。
幻想的な世界で独りきり。


MYSTY BLUE
あ、出てきたよ。エロ…スな曲が。
この曲も、随分テンポが変わりますよね。あ、リズムが…ですね。
「爪先にはそっとロマンス」ってすごい好き。「そっと」っていうのが。
で、誰もいないと。
別れの曲ですかねえ?
KISS ME GOOD-BYE」が、切なく幻想的な別れの心情の歌であるなら、こちらはもっと生々しいです。
たとえ、「爪先」に「ロマンス」を感じていたとしても。
一夜の恋というか、短い恋というか。大人な恋というか。


DIZZY MOON
あ、きたよきたよアニイ!
さて、このアルバムの中で、二番目に好きな曲です。
文句なくイントロがカッコイイ。
で、歌詞は…あの、言葉の端々に、自分というか、バンドの事を書いている気がします。
「嗅ぎまわされて」とか、「虚ろに映る waxy Dool(多分蝋人形)」とかね。
追い詰められていたのかな、と。
確かに、このアルバムが出るまでに色々とありましたからね。
その時の心境の一部が反映されているのでは無いかな、と思います。


SABBAT
この曲を、星野さんが書いてた事が驚きですよ。
なんていうんですかね、おどろおどろしい感じです。
いや、本気で妖しげです。
ん~…。耽美に走り過ぎていまいち分かりませんね。
さて、ここで「SABBAT」の意味を調べてみます。
いや、多分これ(悪魔の儀式というか、バフォメットっていう悪魔と魔女達の儀式)じゃないかっていうのはおぼろげながらあるんですけどね。
サバトとは、魔女達の夜宴を指すそうです。
かっこ内で「バフォメット」を出しましたけど、この悪魔は、確かに魔女達の崇拝を集めてはいますが、実際取り仕切るのは「黒ミサ」の方だそうで。
魔女達の夜宴にて行われるものは諸説ありまして、悪魔を讃える儀式だったりするんですが、その中に、「悪魔との乱交」っていうのがありまして…。
多分、これかなと。
悪魔がどうの、と考えたわけじゃなく、怪しげで不道徳なものの名称として「SABBAT」と名付けたのかしらねえ…と思います。
よくよく読んでみると、耽美な言葉に惑わされてましたが、この詞もかなりエロいですよね。
ただ、その行為が愛情を伴っているのか、それとも肉欲だけのものなのか。
SABBAT」というタイトルが付いていると、もう生贄位の気持ちなのかもしれませんね。
その生贄が、歌い手なのか相手なのかは分かりませんが。


THE WORLD IS YOURS
この曲の、歌詞の、どの辺が「THE WORLD IS YOURS」なのか激しく知りたいです。
言いたい事は、上と同じで意味が分からない。
本当、かっこいいけど意味が分からないんですよ。
もどかしいですね。


悪の華
イントロのリフは最強にカッコいいです。シングル盤と違うのは、シンセサイザーが入っている所です。
で、さて「悪の華」。この曲と、ボードレール著の「悪の華」。類似点があるかどうか。
『悪の華』(あくのはな、Les Fleurs du mal)は、ボードレールの詩集。
1857年に初刊。序詩を含めた詩101篇を収録し、「憂鬱と理想」「悪の花」「反逆」「葡萄酒」「死」の順で配列。
このうち6篇(禁断詩篇)が反道徳的であるとして、有罪・罰金処分を受け、該当詩の削除を命ぜられる。
第2版は1861年に刊行。削除を免れた詩のほかに、32篇を追加し配列を変更し、全125篇を収録する。現在はこの第2版が定本。
詩人の生誕から死までを退廃的、官能的に表現する。
象徴主義の始まりを告げるボードレール唯一の韻文詩集で、のちの詩人に与えた影響は多大である。

そう。これ、詩集なんですよね。といっても、初っ端で挫折したわけですが。
類似点は、無いです。
いや、あるとすれば、耽美と言いながら言葉の端々に表れる生々しさじゃないですかね?
あと、悪の華って、悪役っぽいですよね。そんな所からもとってるのかな?
で、これを書いた後に「悪の華」を再び読む機会が訪れました。
やっぱり意味がわからない…わけでもないんですが。
生々しいですよ。
一度読んでみると良いかもしれませんね。
この曲とは、全くと言っていいほど関連がないのが分かりますから。


KISS ME GOOD-BYE
一番好きな曲です。切ないねえ。
もう、この曲の最後。ギターがメロディラインをなぞり始める時にリズムが変わるじゃないですか。
そこがもうかっこよくてもう…。
しかも、今井さんが長い事正統派ギターソロを弾く、数少ない曲ですよ。
で、詞。儚いです。一番好きなのが、「声はちぎれて風に舞う 泣きたいくらい幸せよ」の所。
一瞬だけ女性言葉になるのが櫻井さんの持ち味なんですかね。好きです、そんな所も。
妙に切ない曲です。
別れようとしているのに、「泣きたいくらい幸せ」なのは、それだけ相手をおもっていたからなのかな?