1989年1月18日 ビクターよりリリース
これをリリースする以前は、とってもポップで可愛い曲とかが多かったんですが、このアルバムを転機にどんどんダークな世界を広げ始めます。
キャッチーな曲が減って、代わりに薄暗い曲が増えてくる…。
いや、歌詞が、「血染め」だの「罪」だの「ナイフ」だの結構物騒になってきます。
ただ、まだ直接ドンッと直球ではなく、真意があまり見えない詩が多いですね。
真意を何か耽美で闇っぽい言葉に包んだという印象です。
このアルバム聞いたら、次の「悪の華」も違和感なく聞けるんじゃないかと。
曲も、ポップじゃないってわけじゃなくて、実際はポップなんです。
ロックっぽくはないですが。
ただ、薄暗いポップっていう感じです。
そして、このアルバム最大の特徴が、ズバリ「エロ」。
「エロス」ではなく、「エロ」。
「エロス」って、なんかちらりと足首が見えたとかいうそんな曖昧さなんです、私の中では。
曲にしろ、詩にしろ、あ、艶っぽいなって思わせられるところがあれば「エロス」なんですけど、今作はそのものズバリの「エロ」+α。
スケベと言ってもいいです。
それがまた良いんですよ。
そして、前作と比べて音が格段に詰まってます。
密度が濃くなった感じです。
このアルバム、ロンドンでレコーディングされているんですよね。
だからなのかな。異国の匂いがします。
そんな感じで、一曲ずつ感想を述べさせて頂きます。
ICONOCLASM
初めて聴いたのはJのカバーでした。その時点で持っていたアルバムといえば…「darker than darkness」、「Six/Nine」、「十三階は月光」だけでした、確か。
んで、名前だけは聞いた事があったんで、次に購入するCD内にその曲が含まれているかどうかで買う基準を決めたように思います。
因みにこのアルバムではなく、二枚組の「BT」っていうベストだったんです。
本家は、ほんとかっこいい。
楽器隊の音だけで、何かしらの緊張感が漂います。
詞にも、「Hurry up」ってありますし。
「偶像破壊」という意味をもつタイトルなんですが、この曲って、当時のBUCK-TICKの世間様の評価をぶち壊すっていう意味だったんかなって思います。
曲の途中の「1 for the money~」の所、「一に金、二に?(私腹とか欲とか、金が入ればきっと欲しくなる色んな物の事かな?)、三四が無くて、五にリスナー」って意味かなと。
自分達を良い様に使ってリスナーから金を巻き上げる、そんな業界の人達が作ったパブリックイメージ(偶像)なんか壊したるわいっていう…。
話は変わりますが、アルバムの一曲目ってとても大事ですよね。
一曲目で、そのアルバムの大方の世界観が分かりますから。
それで言うと、この「ICONOCLASM」はスゴイ曲です。
アルバム全体を通して出てくる「薄暗さ」が良く分かりますから。
TOKYO
好き。「cyber Tokyo」の所が。ライブで叫んでみたいんですが、もう長い事やってないんですかね?
この曲は、櫻井さん叫んでますよね~。シャウトしている。
そこも良いんですが、最後の方の「Let me be crazy~」のとこがカッコイイ。
Aメロの星野さんのカッティングも好き。
そして、道化師。
ここで使われている「道化師」は「達」が付いているので、サイバー東京にお住まいの方々って事で良いんだろうと思います。
後々、この道化師が、「踊らされている人達」から「歌う自分」に変わっていくんですよね。
同じ言葉で、こんなに意味が違うのは不思議です。
もちろん、当時の櫻井さんが何を思ってこの詞を書いたかは分からないんですけどね。
SEX FOR YOU
イントロが、昔聞いた村下孝蔵の曲のイントロに似ています。いや、若干なんですけどね。「踊り子」だったかな?
あと、連想したのが何故か「安全地帯」…。
お前ほんとは幾つだよ!
前半が、言葉は悪いんですがムード歌謡っぽい。
歌詞は、タイトル通りの「エロ」。
櫻井さんは、基本「受け身」の人なんかな~と思います。
「抱きしめてくれよ」とか「あんたの眼が 俺を犯る」とか、「受け身」じゃないと書けないのではないんでしょうか。
そんな中、「腰を突き出せ」って来るから。
来るから、かなりびっくりしました。
でも、やはり基本は「受け身」。
曲に関しては、ムード歌謡と書いただけにまったりと聞けます。
ただし、この「エロ」な詞と声さえなければ。(良い意味で言ってます。石投げちゃいやずら)
EMBRYO
イントロのねえ、ベースがねえ…。シビレルワァ…。樋口さん、良い仕事してます。
そうそう。知ってる人がいたら教えて頂きたいんですが、「地図」の上に打ってる点、あれは何を意味するんでしょうか?
一応、聞き返してみたんですが…気のせいじゃなければ、「地図」とは歌ってないような…。
いや、「ず」って歌っているように聞こえるけど、力いっぱい歌うと、「ず」って「つ」になりやす…えぇぇぇぇえ?!
もしかして、そうなのか?それとも私が踊らされているだけなのか?
「EMBRYO」は、胎児という意味なんですね。
んで、不実の罪ですよ。
子宮ですよ。
「不実」というと、不倫を思い浮かべるわけですが、でも、「Maria love me do?」でしょ?
「COSMOS」にも出てきますけども、一般的にマリアといえば「聖母」で母の象徴な訳ですよね?
歌詞にも出てきますが、「母に返る」っていうのもあるから、やっぱり「母」なん…えぇぇぇぇえ?!
すいません私にはわかりません。
考えすぎなんだよ、きっと。
取りあえず調べてみました。
ええ、例の「地図」の部分をですね。
ははは…本当に「地図」じゃなかったんですか。
まんま歌詞カードに載せたらやばいってんで差し替えて、しかし皆に気付いてもらえるようにわざわざ点まで打って…。
優しいですね~(遠い目…だって気付かなかったんだもん)
〝J〟
カッコいい~。
〝J〟って、切り裂きジャックの事でしたっけ?
ロンドンでレコーディングして、そこでこの曲。
今井さん。狙ってんだろうか…。
にしても。切り裂きジャックの事があんまり分からないので、ちょっと調べてみました。
切り裂きジャック(wikiより抜粋)
署名入りの犯行予告を新聞社に送りつけるなど、「劇場型犯罪」の元祖とされる。神経症患者から王室関係者まで、その正体については現在まで繰り返し論議がなされているが、事件から既に100年以上も経過しているため、真相は闇の中である。
切り裂きジャックは売春婦を犠牲者に選んだ。
犯行は常に公共の場もしくはそれに近い場所で行われ、犠牲者は「メスのような鋭利な刃物」で喉を掻き切られ、その後、特定の臓器を摘出されるなどした。
そのような事実から解剖学的知識があるとされ、ジャックの職業は医師だという説が有力視されている。
ただ、このような事件が起きていた間に、被害者の女性たちが警戒心もなく犯人を迎え入れている形跡がある事から、実は女性による犯行とする説もある。
また、犯行は1年以上続いたという説もある。
切り裂きジャックの犠牲者については、8人や13人、20人とする説もあるが、確実に彼の犯行とされているのは5名。
犯行は夜、人目の付かない隔離されたような場所で行われ、週末・月末・もしくはそのすぐ後に実行されている点が共通している。
てなわけなんですが…。
あ、だから週末は忙しいのね…。
この切り裂きジャック。犯人は捕まってないんですが、容疑者は結構上がってました。
ほとんどは医師なんですが、その中に一人だけ王族が上がってました。
彼は、当時フランス人女性と結婚したい旨を王室に伝えていたそうなんですが、当時の宗教的背景と王室人気の陰りが原因で猛反対されたそうです。
なんでこんな事書いたかって言うと、「許されぬ夢を閉じ込められて」って言う歌詞と「夜にひらいた~」の部分。
後は、「I must kill to love」の所を見て、〝J〟をこの人物と仮定して今井さんが書いたんかな~と思いまして。
この事件に関する話はここで終わりにしようぜって事で、次へ。
FEAST OF DEMORALIZATION
パーカッション来ました!アコギのせいで、荒野のガンマンぽくなってます。
詞は…、ヤガミさん?おお!
ちょっと読んでみましょう。
まずタイトル。
直訳すると、退廃の祝宴。…かっこええ。
次に詞。
…難しい!樒梻ってなに!てか、これ両方共「しきみ」って読むんじゃん!
しきみとは…モクレン科の常緑小高木。四月頃、淡黄白色の花を開き、秋、星型の果実を結ぶ。
果実は猛毒。全体に香気があり、葉と樹皮から線香、抹香を作り、材は数珠となる。
ほうほう。
「朽ちる樒梻を口にする」って、アニィそれ毒だよう!
あ、だからか。さすが、退廃の祝宴!
ANGELIC CONVERSATION
名曲です。ウェイです。
この曲は、本当に絵画ですね。曲の意図を理解するより、絵を見ていると言った方が良いかも知れません。
天使と悪魔の絵にインスピレーション受けて出来たんだっけか?
あれですか?悪魔が頬杖ついてる絵ですかね。
この「DRAGON AND BOY」って聞くと、どうも「にほん昔ばなし」のオープニングを思い出し、その流れから「お尻を出した子一等賞」を思い出しますね。
SILENT NIGHT
ちょっとグロ。この、前半の英詩を訳して見たんですが、振られた歌ですか?
でも、血塗れの手にナイフが刺さってたり、爪先に釘が刺さってんですよね?
え?これ、何?
殺したって事?
でも、サビは「殺してしまいたい」と「眠らせてしまいたい」だよ。
望みですか。
「クリスマス近辺に振られてしまった男。物凄く恋人を愛していた為に、妄想の中で彼女を殺し、自分も殺す」
みたいな感じなんですかね?
だから、冒頭の英詩で「いつか自分がした事を後悔するだろう/闇に体を沈め最後の機会を逃してしまった」んですかね。
つまり、恋人は生きている。
別れ話の時は、そのまま別れた。
でも本当は、別れてしまうくらいならいっそ殺してしまえばよかったと、後悔している。
…意味わかんね。
今井さんもアコギ奏でてるんですよね。
アコギと言えば、=星野さんなイメージがあります。
TABOO
カトチャーン!…っていうけど、どの辺がそうなんでしょうか?
「ちょっとだけよ~ん」は覚えているんですけど、曲が分からない。
アダルト漂う曲ですね。
でも、個人的には「殺シ」の方が好きです。
何故なら、あっちには喘ぎが入っているからです。
JUST ONE MORE KISS
有名な曲ですよね。
確か、「“TABOO”で終わったら苦しくて死んじゃうよ~」とかなんとか櫻井さんが言ったから、この曲が入ったんでしたかね。
その通り、確かに「TABOO」で終わったら、えらくへヴィーなアルバムだったでしょうね。
歌詞が殆ど救いようがないですし。
だからなのか、この曲、ちょみっとだけ浮いてる気がしないでもない。
やっぱポップやねえ。これとcyber Tokyoは結構ポップです。
「ANGELIC~」もか。
あとは、なんかこう…薄く暗い。
でも、この曲があって救いようがありそうですが、この詞も失恋してるっぽいですけど。
前作まで若さ全開だった櫻井さんの声が、結構低くなってますよね、この時点で。
「悪の華」の時の方が、まだ若く聞こえる気がします。
あっちの方が、キーの高い曲が多いからなんでしょうかね?