人に拠っては
大した事無いけれど、
自分にとっては
最悪な一日だった。
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その日は、
妻が親友と旅行に行く日。
その親友とは
年に1、2回しか会えず、
(相手が二名子育て中)
しかも!
泊まりとなると
ここ数十年で初。
前からずっとずっと
楽しみにしていた妻を見て、
自分も盛り上がっていた。
って事で、
駅まで一緒に行く事に。
(駅までは徒歩25分)
「じゃねー!」
「楽しんで来なあ!」
(さて、昼飯どーすっかな)
いろいろ考えた末
「おし!マックにしよう!」
数十年ぶりのマック。
ビックマックセット
&マックシェイク購入。
歩きながら
シェイクを飲む。
(うまっ!!)
(妻は一泊だから
今日は徹夜でゲームだあ!)
鼻歌混じりに
デニムのポケットへ
手をやると、
そこで時間が止まった。
(あれ?)
(カギがねえ・・・)
頭をフル回転させる。
(あ・・・)
カギを
持って出なかった事実。
パンクした
頭を再起動。
1、鍵の110番に頼む
2、ホテルに泊まる
3、妻の親父さんとこに行く
1はいいけど、
壊されるのは困る。
3は有り得ねえ。
(ホテルか・・・)
スマホに手をやる。
(マジか・・・)
妻を送ったら
すぐ帰るつもりだったので、
バッテリー残量が
20%台しかない。
(仕方ない・・・)
妻にラインしようとした
手が止まる。
これから
待ちに待った旅行なのに、
「ごめん、カギ忘れた」
なんて言えない。
でも、
言わないと
明日まで家に入れない・・
泣きそうになりながら
「今から東飯能へ行く」
(東飯能・・二人の待ち合わせ場所)
とライン。
「どうしたの?」
「カギ・・忘れた」
八高線、
自分の人生で
二度乗った事がある。
東飯能の事は
知らないが、
八高線・・・
つまり
「八王子に行けばいい」
だけは分かる。
家の近隣には
バス停がいくつかあるので、
とにかく中央線に行ける
バスに飛び乗る。
この時点で
『いくつかあるバスの中で、
一番時間のかかるバスに
乗ってしまっている』
と言うミスを犯す。
とりあえず、
吉祥寺まで来た
八王子に行くのに
一番早いのは特快。
吉祥寺には
止まらないので、
まず
三鷹に行かなければ。
三鷹までは
スムーズに着いた。
が、
ちょい出の
つもりだったので、
メガネをしておらず
駅構内の表示が
全く見えない。
しかし!
神降臨!!
たまたま
歩いていた所が、
特快のホーム。
しかも、
乗ってすぐ発車!
ツイてる!!
妻と親友との
待ち合わせ時間は、
14時15分。
(その電車に乗るらしい)
時刻はもう
14時に近い。
生まれてこの方、
こんなポカした事ないので
驚くほど落ち込む。
(職質されても
おかしくないくらい、
しょんぼりしている)
それでも
特快には乗れた。
あとは八王子から
八高線に乗り換・・・
『次は西立川〜』
?????????
(ん??八王子までに
西立川なんて駅あったか?)
視力が悪いので
(メガネ忘れた)
ドアの前まで行き、
電光掲示板を見て
恐ろしい現実に直面する。
(え・・八王子ない??)
そう!
路線図に
これから向かう
"八王子"
が無いのだ!
この辺りは
普段来た事が無いのもあり、
バッテリーの少ない
スマホで検索。
(青梅特快??)
そう、
八王子行きの特快ではなく
青梅行きの"青梅特快"に
乗ってしまったのだ。
もちろん、
そんな事は
知る由もない。
三鷹から乗った特快は
八王子に行くものだ。
それしかない
としか思っていなかった。
慌てて次の駅で降り、
立川へ引き返す。
ここへ来て
このタイムロス。
つら過ぎて
涙が出そうになる。
それは
このポカに対してではなく、
「妻達の旅行に
水を差してしまっている」
と言う申し訳なさだ。
妻はラインで
「全然大丈夫だよ〜♪」
と言ってくれるが、
それだけ辛さが増す。
・・・
・・・・
ようやく
八王子駅に到着。
したのはいいが、
八高線のホームが
意外と遠い。
小走りで行くと
ホームに電車が見えた!
(おしっ!!)
が、
無常にも電車は
少しずつ
動き出していた。
運悪く、
膝を痛めていて
(湿布&サポーター)
小走りする事が
出来ない。
(ああ・・・)
ちなみに、
八高線は
"1時間に2本"
です。
・・・
・・・・
・・・・・
結果、
15時20分、
ようやく
東飯能駅に到着。
駅前のデパートで
お茶していた妻から、
無事カギを受け取った。
既に何回も会った事がある
妻の親友に平身低頭、
お詫びを申し上げた。
・・・
・・・・
・・・・・
帰り。
東飯能駅のホーム、
ぼうっと椅子に
座っていると、
ずっと
手にしたままの
マックの袋に気づく。
(そう言えば、
まだ食べてなかったわ・・)
ストローを差しておいた
アイスカフェラテは、
一口飲まれただけ。
氷が溶け溢れ出し
袋の中はビチャビチャ。
(ナイロン袋の中の紙袋)
その水分を
全て吸い取った
ビックマックも
ビチャビチャ。
ポテトも。
袋の口を
きゅっと閉めた。
地獄はそれで
終わりではなかった。
帰りの八高線。
「次は〜拝島〜」
(拝島ってどの辺だろう・・・)
「JR中央線はお乗り換えです」
(・・・ん?中央線乗り換え??)
「青梅特快、X時XX分ーーーー」
(え!?青梅特快!???)
何で青梅特快に
乗り換え出来んだよ!?
残り10%くらいの
スマホで検索。
そこで
衝撃の事実を
知る事となる。
次の拝島では
JR中央線に乗り換えが出来る。
つ・ま・り!
行きの時、
間違えたと思っていた
青梅特快から降りず、
(立川に戻らず)
そのまま乗っていれば、
拝島で八高線に
即!乗れたのだ。
拝島は
八王子より手前にあるので、
わざわざ八王子まで
行く必要もなく、
"ショートカット"
出来たのだ!
それが分かっていれば、
二人を一時間以上
待たせる事もなかった。
スマホのバッテリーさえ
残っていれば、
ちゃんと経路を
調べられただろう。
メガネをしていれば、
駅でまごつく事も
なかったろう。
そう言えば
家を出る時、
ポケットに車のキーが
入ってたんだった。
ポケットから出さず
そのままにしておけば、
車で行く事も出来た。
最新鋭ナビが
あるんだもん。
あまりにも
落ち込んでしまい、
それから
一度も顔を
上げられなかった。
家に着いた時は
辺りは真っ暗。
メンタル的にも
フィジカル的にも
疲れに疲れ、
そのまま倒れる様に
寝てしまった。
本当に
本当に
辛い一日だった。
八高線に乗ってすぐ もう西陽が眩し過ぎた
