財政難に陥った徳川綱吉の時代、勘定吟味役の荻原某の主導により、新しい小判の鋳造が行われた。
それまでよりも黄金の含有率を三分の二まで下げた小判を大量に鋳造し、世間に流したわけである。
その結果、一時は幕府の財政を潤すことになったが、そのツケは数年後に支払うことになる。
未曾有のインフレーションを引き起こしたわけである。
そんなのは当然の結果であった。
実際には景気が良くなったわけではないのに、金だけ多く出回ったわけで、つまり経済の空洞化が生まれてしまったわけだ。
その昔、アメリカでは、国策としてダム建設を推進した。
紙幣を大量に刷り、地方などから失業者を集め、刷った金を使って仕事をさせる。
これにより失業者も収入を得るわけだが、ダム建設という国策にはこの後の狙いがあった。
ダム建設による生活インフラの充実により、外貨獲得を狙ったわけである。
日本では、これを真似して、昭和の東京オリンピックの前に、首都高をはじめとする高速道路の建設をはじめた。大量の紙幣を刷って、高速道路工事のため労働者を募り、金をばらまいた。
ただし、これもアメリカのダムと同様、オリンピックを皮切りに外貨を稼ぐことが目的であった。
時代も時代である。これは成功した。そして日本は急成長を遂げて言った。
さて、アベノミクスとやら。
安倍は日本銀行に紙幣をガンガン刷らせ、国民に株と国債を買わせまくった。
結果、日経平均株価は上昇し、過去最高高値をマークするほどになった。
そして経済とかの専門家ははしゃぐ。
これが安倍の制作の成功なのだそうだ。
金持ちも喜ぶ。
日経平均株価が上がっているので安心なのだ。
ただし、忘れてはならないことがある。
大量に紙幣を刷った後には、外貨を稼ぐことは必須だ。
しかし、安倍はそこまで考えていない。
おそらく、次の東京オリンピックで稼げると、甘い妄想を抱いているに違いない。
しかし、安倍の紙幣印刷は、何のインフラを整えるものでもない。
ただ「株価」という、バーチャルな経済グラフをあげてみせたに過ぎない。
この制作は、綱吉の小判鋳造に似ている。
砂を多く含ませた小判を大量に鋳造し、もとにあった予算より1.5倍に膨らませたわけだが、これによって整ったインフラはない。したがって、数年後に悪夢のようなインフレを引き起こすわけである。
安倍の経済制作も、砂を混ぜた小判と同じだ。
このツケは、数年後に確実に訪れるであろう。
その時、経済とかの専門家たちは、今度は何というのだろうか。
綱吉といえば犬で有名な殿様だが、安倍もまた「お犬様」の愚策を繰り返している。