自転車に乗る機会があったので、久し振りに地元の本屋まで足を運ぶことにした。
家からは、少し離れた場所にあるので、なかなか行くことはないのだが、学生時代からお世話になっている、数少ない場所だったりする。
本屋を目の前にして、店からの明かりがないことに気付く。
かなり遅い時間だったので、「時間に間に合わなかったかぁ」なんて思いつつ、とりあえず店まで行ってみますかと、自転車をこぎ進む。
店の前まで来ると…。
『!?』
店の看板は外され、暗くてよく見えなかったが、店内がガランとしているのが分かった。
自転車を降り、入り口に近づくと、移転を知らせる貼り紙があることに気が付いた。
「ああ、そう言うことか…。」
事態を把握すると、自転車にまたがり、来た道を戻った。
ここは、町の本屋なのに、マニアックな品揃えと、同人ソフトやら、フィギュアなんかも取り扱っていて、私のなかでは『かくし球』的な場所であった。
そして何より、弟や友達がバイトしていた、思い出の場所なのだ。
私のなかの、ひとつの幕が、スッと閉じていった感じがした。
『閉店』ではなく、『移転』なので、店が無くなる訳ではない。
だけど、こと思い出に関しては、『場所』がすごく大事だと思うんです。
その場所で過ごした時間、その場所で体験したこと、これらは、その場所だから意味をなすんだと思うんです。
そんなことをボンヤリ考えながら、自転車で帰路につく。
こうやって、色々な場所から、時間は確実に流れていることを、実感させてもらうのでした。
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