4月12日、日曜日。
U-18クラブユース選手権第1戦の日。
公式戦の会場は、タクシーで25分ほどの場所にありました。
距離にして3~4キロか。
さて、試合も終わり、帰り道。
バスも走っていない田園風景のど真ん中にあるようなグラウンドから、タクシーで帰るか、または徒歩で帰るか?
徒歩を選択☆
この日の試合のことや、次の練習のことを考えながら、ひたすらひたすら歩きました。
遮るものが少ない広い空、小川の周りには菜の花群。
考え事をしたり、風景に染まったりしながらの、徒歩1時間15分ほど。
やっぱり、旅なんだな。
駅に着くと、随分前にグラウンドを出ていた選手たちの姿が・・・。
聞けば、彼らも徒歩を選択したのこと。
さらに話していると、どうやら道に迷ったようで、駅まで2時間ほどかかったそうです。
やっぱり、旅なんだな。
その2週間後の4月26日、日曜日。
U-18クラブユース選手権第3戦。
同じ会場での試合でした。
その帰り道。
わたしは迷わず徒歩を選択。
グラウンドを出て駅の方へと歩を進めると、民家から声が。
そちらに目を移すと、農作業の手を休め、おばちゃんのニコニコ顔が。
「前も団体が歩いていたけど、どこまで行くの?」
「花咲駅までです」
「えっ?、けっこう距離があるでしょ?」
「はい、2週間前も歩いたのですが1時間以上かかりました」
「大変でしょ?」
「いえ、景色がきれいなので、それほど苦にはならないですよ」
「そう、気をつけてね」
「ありがとうございます」
駅へと向かい、5分ほどでしょうか。
スーッと車が寄って来て停まりました。
「乗ってきなよ」
先ほどの民家のおばちゃんです。
「え?、そんな迷惑じゃないですか?」
「いいから、乗りなよ」
「すみません。お言葉に甘えます」
ほんの少し会話をしただけの、何の縁もない見ず知らずのわたしを駅まで送るためだけに、車を出してくれたのです。
「すみません。本当にありがとうございます」
「荷物もおっきいし、歩くといっても大変でしょ?」
会話をしていると、前方に高校生4人が歩いています。
「すみません。あの前を歩いている4人はわたしの教えている高校生なんですが、もし送ってもらえるなら彼らを駅まで乗せてくれませんか?
わたしは元々歩くのも苦にはならないし、歩きたいのもあるので」
いま、思っても図々しいお願いです。
しかし、おばちゃん。
「(あなたは)いいのかい? それだったらいいよ」
車は4人の前に停まります。
びっくりした表情の4人。
(それはそうだ。見覚えのない人の車にコーチが乗っているのだから)
事情を説明し、車で駅まで送ってもらえることを知る選手たち。
弾けんばかりの笑顔。
「ありがとーございまーす☆」
「お願いしまーす☆」
「いいよ、いいよ。 じゃあ行くよ」
「本当にすみません。ありがとうございます。 (選手たち)、駅に着いたらしっかりとお礼を言ってな」
選手4人を乗せたおばちゃんの車を見送り、わたしはまたひたすら歩き始めました。
この日の試合のことを省みながら。
景色に馴染みながら。
そして、わたし自身が逆の立場で(おばちゃんの)このような行動が出来るだろうか、と考えながら。
30分ほど歩いた頃でしょうか。
大きな道の反対側をおばちゃんの軽自動車が自宅の方へと向かっていくのが見えました。
たぶん、わたしのことは気付いていないだろうと思いながら感謝の一礼。
そして、またトボトボと歩き始めると、スーッと車が寄って来て停まりました。
「乗ってきなよ!」
先ほどのおばちゃんです。
「(選手たちを乗せてくれて)ありがとうございます。でも、何の用事もないのに2回も駅まで行ってもらったら申し訳ないです」
「いいから、いいから。 そんな変わらないから、乗りな」
「すみません。お言葉に甘えます。ありがとうございます」
再度、車に乗せてもらい、あれこれと話しながら10分ほど。
花崎駅に着きました。
「本当にありがとうございます」
「いいよ、いいよ、気をつけてね」
車を見送りながら思いました。
さり気ない親切ほど、感謝の気持ちが素直に広がるんだな、と。
恩返しは出来ないかもしれないけれど、このような気持ちをしっかりと刻んでおこう、と。
やっぱり、旅なんだな。

