

「誰?」
あっ、
伯父が来た!
百鬼夜行(ひゃっきやこう):
悪人どもが時を得て、勝手に振る舞うこと。また、多くの人が怪しく醜い行為をすること。「百鬼」はいろいろな妖怪ようかいのこと。「夜行」は暗夜に列をなして歩き回ること。多くの化け物が、夜中に行列をつくって歩き回る意から。「行」は「ぎょう」とも読む。
注:
親しい間柄とはいえ、夕方以降の家族団欒の時間に、出入りされるのは困ったものである。ましてや、親族とはいえ、親しくなければ、迷惑であっても追い返せない。すっかり日も暮れた後、ノックとともに「こんばんは!」と声がする。夜分に訪れ、呼び鈴も押さず、名前も名乗らない不届き者に、応ずるつもりはない!と思ったその時、伯父がそういう来訪をするのを思い出す。ドアスコープを覗いたら、見事なハゲ頭がそこにある。これは伯父だなと、辟易しながら出たところ、お隣りへの訪問者が間違えて我が家に来ただけだった。ドアスコープから見えた姿が、ハゲ頭だからといって、伯父とは限らないよな、夜の往来は危険だな、…という大いなる夜半の安堵。