公開2週目にして「鬼太郎誕生ゲゲゲの謎」をやっと、やっと観てまいりました。
公開初日は、それを祝うかのように冷たい雨が…根性のない私はあっさり断念。
気合いの入った猛者たちから次々と「感想」レビューや二次絵が投稿される中、それをうっかり読まないように回避しつつ(二次絵は見てました)東映映画チャンネルの動画でワクワクを募らせ、今回はダンナと娘(アニメ5期推し)同伴でシネコンへ。
私が見ていたのはこれ↓
これまでの予告動画やビジュアルから「ゲゲゲの鬼太郎×横溝正史」と勝手に予想していましたが、ドンピシャでした。
鬼太郎と猫娘が登場するのは冒頭と終わりの部分だけ。
本編は、野心を抱えるサラリーマン水木と、病を患う前の目玉おやじ(仮称ゲゲ郎)がメイン。
「大人の鑑賞に堪える作品」を目指しているだけあって、シアターの客席に幼児を連れた家族連れは皆無でした。(笑)
うっかり小さい子供連れてきちゃったら、冒頭10分で帰りたくなってぐずるだろう。(だって鬼太郎すぐいなくなって、難しい事喋る大人ばっかりだもの)
前半の展開は、私の期待通り「犬神家の一族」的な内容。
財界の大立者・龍賀時貞氏の死から始まり、水木がその本拠である哭倉村まで乗り込み、遺言状の公開に立ち会い、親族同士の醜い争いを目の当たりにするという流れ。
見せ方が日本映画特有のカット割りなので、思わず「これ、実写でも行けるじゃん?」と思ってしまった。(のちの展開を鑑みればアニメでなければ無理に落ち着いた)
途中の伏線として、水木と鬼太郎の父(めんどいので以下ゲゲ郎)のファーストコンタクトが入り、(上の動画)ホラー色がアップ。
次々起こる一族の不可解な死、不可侵の島、一族繁栄の元となった新薬の謎。
時代設定も昭和31年と横溝正史ミステリーを彷彿させる展開に、妖怪や幽霊族も加わりミステリー&ホラーのてんこ盛りで飽きることがありません。
ゲゲ郎と水木が近しくなっていく展開も、とても自然でいい感じ。
酒を酌み交わし、タバコを分けてやるほど心を開いた頃、さり気にゲゲ郎が泣き上戸だというネタを放りこむあたり、「そうなんだよ、超イケおじだけど目玉の親父さんなんだよ」と再認識。
公式サイトには「謎の少年」となってますが、若かりし頃のねずみ男と水木・ゲゲ郎の関わり方もクスっと笑えるシーン。
一人称が「ぼく」なのが、可愛い。
この頃の彼は、どちらかというと妖怪寄りですね。
それにしても水木もゲゲ郎もカッコよく描かれています。
水木の設定は、原作者の水木しげる先生にかぶるところがあり、戦争で左腕と左目を負傷するという表現が、先生へのリスペクトを感じます。
そしてゲゲ郎は、さすが鬼太郎の父といえるハイスペックな能力の持ち主。
原作漫画やアニメで、本当はものすごい力を持っているんだという事をちょろちょろと出していましたが、全開フルパワーの戦闘シーンは見ものです。
なのに、最後は人間にケリをつけさせるところが、さすが親父さん。
常々、親父さんカッコいいなと思っていましたが、あの八頭身ビジュアルのおかげで説得力が増しましたね。
テレビシリーズで登場した時よりも、目の表現が鬼太郎により近くなりましたが(切れ長の瞳に心奪われた人間)、それでも、格の違いを感じる存在感。
関俊彦さんの飄々とした語り口が、田の中さんや野沢さんを感じさせるところが、なお良し。
後半は怒涛の展開で「ゲゲゲの謎」が明かされていきます。
霊毛ちゃんちゃんこ爆誕の瞬間とか、病に至る原因とか、もろもろ。
親父さんが「まったく人間という奴は…」と吐き捨てながら、それでも人間に手を差し伸べる理由とか…
アニメ6期のエピソードゼロという設定ではありますが、少しでも鬼太郎シリーズや水木漫画に触れたことがある人なら、全て腑に落ちる内容でした。
映画を見終わった感想は、とにかく面白かった、そして、やっぱり一番怖いのは怪異より、人間の持つ業だよなあ。
まだ見ていないという方に忠告。
エンドロールが流れても、絶対に席を立たないでください。
これホント。