■化学

大学受験生への指導中。

学校で配られた化学の問題集の扱いについて相談を受けました。

自分用の勉強カリキュラムに、どう組み込めば良いかと。

えーと、そうね、なるべく学校のカリキュラムに合わせてまずは…



ん?




谷…

たにがわ…


谷川先生!




かつての私の担任の先生です。

生きておられたんですか。



■思い出

谷川先生は、私が高校の頃、最も敬愛した先生です。

その道では大変な功績のある方だそうですが、日常生活では、ちょっぴりズレておられ。

私たちには、そのギャップが面白くて仕方なかったのです。


ある日の授業中、横に長い長い黒板に化学式をひたすら書き続けておられる先生に質問したのを覚えています。


私: 「先生は我々のノートの横幅がそんなにあると本当にお思いですか。」

先生: 「……ぁぁ……………………」


先生と私の間に生まれた長い沈黙は、忘れがたい思い出。

急に話しかけられると、先生は固まってしまう癖がおありでした。



ある日の休み時間、廊下で水泳大会を行っていた私たちを見かけた先生は、こうお声がけくださいました。


「………おまえら………アホなんか………」


惜しくもノーベル賞を逃した(と聞いた)ほどの先生、卓越したワードのセンスは今でも私の憧れです。



■ふと

久しぶりに懐かしい思い出に浸った私は、今自分が勉強の先生として活動していることを、ふと思い出したのです。

多少の修行こそ積んで来たとは言え、先生からすれば私などは、アホに見えるだろうなと。

胸に妙な焦りを感じ、背中に冷や汗を掻いた日のこと。





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