デンマークの首都コペンハーゲンに2019年10月にオープンした「CopenHill(コペンヒル)」。廃棄物発電施設の屋上にスキースロープを設置する(写真:Rasmus-Hjortshoj)
芝のスロープをスキーヤーが滑走する。アトラクション施設のようにも見えるが、写真の景色にすこし違和感を感じないだろうか。
チェス盤のような銀と白のファサードの奥には、もくもくと煙を吐く煙突が立っている。
実はこの建物、焼却した廃棄物をエネルギーに変換して利用する発電施設だ。
「CopenHill(コペンヒル)」と名付けられた同施設は、デンマークの首都コペンハーゲンで2019年10月にオープンした。
設計者はこの街を拠点とする設計事務所ビャルケ・インゲルス・グループ(BIG)など。
コペンヒルは約9000m2のスキースロープのほか、490mのハイキング道や、垂直壁面に高さ85mのクライミングウオールを設けている。
コペンヒルの鳥瞰。スキースロープの広さは約9000m2ある(写真:Dragoer-Luftfoto)
スキースロープの長さは400m、高低差は75m。初心者から上級者まで幅広い利用者が楽しめるようにコースの傾斜は12~45%と様々だ。BIGは施設内部の焼却設備の高さなどを綿密に計算して屋根を設計した。
コペンヒルのスキースロープ。幅広い利用者が楽しめるように12~45%と様々な傾斜を設けた(写真:Rasmus-Hjortshoj)
コペンヒルの屋上の様子。施設内部の焼却設備の高さなどを綿密に計算して屋根を設計した(写真:SLA)
ファサードは高さ1.2m、幅3.3mのアルミニウム外装をレンガのように積み重ねた構成となる。
このレンガの中間はガラス張りの窓になっており、施設の内部を日光で照らす。
スキースロープの利用者はエレベーターでコースに登る際に、ガラス越しに発電施設の様子を見学できる。
コペンヒルの施設内部。スキースロープの利用者はエレベーターでコースに登る際にガラス越しに施設内を見学できる(写真:Soren-Aagaard)
コペンヒルは年間に44万トンの廃棄物を電力に変換し、約15万軒の家庭に電気と地域暖房を供給する機能を持つ。
この施設は環境への配慮を可視化した面白い機能を持っている。
1トンの二酸化炭素(CO2)を大気中に排出する度に煙突から「煙の輪」を放出して知らせるのだ。
コペンヒルの鳥瞰。2025年にカーボンニュートラル都市を目指す街のシンボルとなる(写真:Laurian-Ghinitoiu)
コペンハーゲンは25年までに、CO2の排出と吸収を同量にする世界初の「カーボンニュートラル都市」を目指している。
そうした街でコペンヒルは、単なるインフラや娯楽施設にとどまらず、環境問題に積極的に取り組む市民の心意気を示す建物となっている。
いいね!!!
廃棄物処理施設は、嫌われ者です、、、
電力を発電し スキー場もある
日本でも 廃熱で温水プールはあるけど
これは斬新です!
出典=https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/01014/101600007/