三者三様の屋根工法で工期短縮、KYB免震偽装にも対応

 

 

 1つ目は、辰巳の森海浜公園(東京都江東区)内に新設する水泳競技会場「東京アクアティクスセンター」。

 

地組みした大屋根をワイヤで吊り上げる「リフトアップ工法」が採用されている。

 

3回に分けて実施したリフトアップは18年7月に完了しており、現在は観客席の鉄骨の建て方工事やプールの躯体工事などが進んでいる。

 

 竣工は20年2月の予定で、1月末時点の工事の進捗率は金額ベース(以下の進捗率も同)で約55%だ。

 

 同センターは、地下1階・地上4階建てで、大会時の延べ面積は約6万5500m2、座席数は約1万5000席となる。

 

基本設計は山下設計、丹下都市建築設計、アラップが手掛けた。実施設計と施工は大林組・東光電気工事・エルゴテック・東洋熱工業JVがそれぞれ担当している。

 

南東側から見た「東京アクアティクスセンター」の施工現場。大屋根のリフトアップを2018年7月に終え、現在は観客席の鉄骨建て方などが進んでいる(写真:日経アーキテクチュア)

 

 

南東側から見た東京アクアティクスセンターの大会時のイメージ(2019年1月時点)。東京都江東区の辰巳の森海浜公園内に新設する(資料:東京都)

 

 

2019年1月時点の大会時メインプールのイメージ(資料:東京都)

 

 

東京アクアティクスセンターの免震層。4本のコア柱と屋根の接続部にKYBおよびカヤバシステムマシナリー製の免震・制振オイルダンパー各4本が既に施工されている(写真:日経アーキテクチュア)

 

 

 

 

 

有明アリーナの大屋根スライドは残り1回

 2つ目は、五輪でバレーボール、パラリンピックで車いすバスケットボールの会場となる「有明アリーナ」。
 
東京アクアティクスセンターから3kmほど西の東雲運河に面した敷地で建設が進む。
 
 
施工中の「有明アリーナ」を東側から見る。写真左手がサブアリーナで、外装が一部取り付けられている右手がメインアリーナ。サブアリーナの躯体上に構築した仮設構台で屋根架構を組み上げてスライドさせる(写真:日経アーキテクチュア)
 
 

 現場では、「トラベリング工法」による屋根工事が大詰めを迎えていた。

 

敷地南側のサブアリーナの躯体上に構築した仮設構台で屋根架構を組み上げ、北側のメインアリーナ側に送り出して施工する。

 

計9回スライドして完成させる屋根架構は、2月14日までに8回目のスライドを済ませ、今春には屋根工事が完了する予定だ。

 

 屋根工事のほか、内外装工事などが進んでおり、1月末時点の工事進捗率は51%。12月の竣工を目指す。

 

 施設は地上5階建てで、延べ面積は約4万7200m2。

 

大会時は約1万5000席を設ける。

 

基本設計と工事監理は久米設計が、実施設計と施工は竹中工務店・東光電気工事・朝日工業社・高砂熱学工業JVがそれぞれ担当している。整備費は約370億円だ。

 

 

メインアリーナ側から見た有明アリーナ。凹面状に反った屋根形状が分かる(写真:日経アーキテクチュア)

 

 

有明アリーナの大会後の外観イメージ(2019年1月時点)。東雲運河に面して立つ(資料:東京都)

 

 

南東側から見た大会後の外観イメージ(2019年1月末時点)。手前側のサブアリーナには大会後、レストランなどを設ける計画だ(資料:東京都)

 

 

 

有明体操競技場は進捗率62%

 最後は、有明アリーナと道路を挟んで近接する「有明体操競技場」。約90mスパンの木造梁中央部をリフトアップ工法で施工するのが特徴だ。
 
5回に分けてリフトアップする計画で、2月28日に最後のリフトアップを控える。
 
10月末の竣工を目指しており、1月末時点の工事の進捗率は約62%だ。
 
 同施設は、主競技場となる本体建物とウオームアップ棟で構成。
 
主競技場の延べ面積は約3万5200m2。観客席数は約1万2000席となる。
 
日建設計が基本設計、清水建設が実施設計と施工を手掛ける。
 
清水建設の技術アドバイザーとして、斎藤公男・日本大学名誉教授が参画している。
 
 五輪では体操競技、パラリンピックではボッチャの会場となる。
 
3つのアリーナのうち、この施設だけは整備主体が都ではなく東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会だ。
 
大会後は都が展示場として活用する。大会後の改修などを含む整備費は、概算で約253億円だ。
 
施工中の「有明体操競技場」を南西側から見る(写真:日経アーキテクチュア)
 
 
メインのエントランスとなる北西側から見た外観の完成イメージ(資料:Tokyo2020)
 
 
大会時の内観イメージ。木造梁のスパンは約90mに及ぶ。観客席にも木を採用した。大会後は観客席をすべて撤去し、東京都が約10年間、展示場として使用する計画だ(資料:Tokyo2020)
 
これだけの建設するのは、オリンピックがないとできません。
オリンピック様様です!
プールできたら泳ぎたいですネ!!!