製材を生かす(1)、小林市新庁舎(宮崎県小林市)
宮崎県の南西部に位置する小林市。新しい市役所は、“地域完結型”の木造・木質庁舎だ。市有林を利用し、地域内で製材・プレカット。施工も市内の建設会社が担当した。
一連の生産プロセスを可能にしたのは、シンプルさを追求した構造設計だ。
左が本館(行政棟)、右が東館(議会棟)。本館は、鉄骨鉄筋コンクリート造と鉄骨造の混構造。東館は在来木造。2棟とも組子細工のような木組みでファサードを統一しているが、本館は建具、東館は構造体。デザインや部材寸法が違う(写真:イクマ サトシ)
組子細工のように細かく木材を組んだパターンが、渡り廊下を挟んで長さ60mにわたり建物のファサードを飾っている。
8000本を超える地元の木材を使って建てられた宮崎県小林市の新しい市役所だ。
2017年夏の完成後、旧庁舎の解体と外構の整備を経て、18年3月にグランドオープンを迎えた。
本館の足元まわりは市民が憩える空間。近くで見ると、ガラスのカーテンウオールの内側に並ぶ木製建具が、東館の構造壁と違うことが分かる(写真:イクマ サトシ)
東館のピロティ。奥行き3mほどのピロティが、渡り廊下を介して本館まで続く。道路側に並ぶ柱は、150mm角のヒノキの製材。写真右手、ガラスの内側に見えるのが製材の耐力壁(写真:イクマ サトシ)
本館の南西側の外観。2階と3階の外壁は、日差しを遮る西向きの木製ルーバーと、採光と通風を確保する南向きのガラス面が雁行して並ぶ(写真:イクマ サトシ)
本館1階のエントランスまわり。内装制限の対象にならない建具や照明器具に木材を多用した。開口部沿いの木組みは建具(写真:イクマ サトシ)
本館2階の待合ラウンジ。4階建ての本館は、柱が鉄骨鉄筋コンクリート造、梁が鉄骨造(写真:イクマ サトシ)
本館1階のピロティ沿いには、市民が利用できる多目的スペースやコミュニティーラウンジがある(写真:イクマ サトシ)
東館1階、ピロティ沿いのガラスの内側に木組みの耐力壁が並ぶ。吹き抜けの上部は議場のホワイエ(写真:イクマ サトシ)
張弦梁の工法を用いて12.74mのスパンを飛ばした議場。下弦材は120mm角のヒノキ製材。左側の白い壁は、建物を2つに区画する防火壁。壁倍率10倍の耐力壁を兼ねている(写真:イクマ サトシ)
東館(議会棟)断面図
2階平面図
1階平面図
東館は、延べ面積が約2100m2。それぞれの容積対象面積が1000m2以下となるように、建物を二分する防火壁を設けている。防火壁は、壁倍率10倍の耐力壁を耐火被覆したもの。東館は、構造的にも、防耐火上も、自立する2つの木造を一体化した形になっている。
いい雰囲気
こんな市役所なら親しみを持っていける
和のティストが伝わる~
出典=https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00507/110900004/