意匠分野の変革の主役が「コンピューター」であることは間違いない。もちろんこれまでも設計にコンピューターは使われてきた。だが、それは人間が複雑な与条件を整理した後で用いる「計算の道具」にすぎなかった。これからのコンピューター活用は、「複雑な与条件を整理させる」あるいは「複雑なまま解決策を導く」使い方へと軸足を移すだろう。

 

〔写真1〕2017年10月にリニューアルオープンした米国・サンタフェの美術館「SITE Santa Fe(サイト・サンタフェ)」。SHoPアーキテクツが改修・増築部分の設計を担当。光の漏れ方まで全て計算し、3次元データを駆使しながら建設を進めた。建物の横を歩くと、パネルの模様によってモアレ効果を体感できる(撮影:Jeff Goldberg/Esto)

 

〔写真2〕日本橋旧テーラー堀屋改修。設計は三井嶺建築設計事務所。2016年に改修を完了し、現在は江戸切子の店が入居している(撮影:Jérémie SOUTEYRAT)

 

〔写真3〕「名古屋大学ジェンダー・リサーチ・ライブラリー」では、オールジェンダートイレ2室と女性優先トイレ1室を設置した(撮影:日経アーキテクチュア)

 

 

こうした動きの先取りともいえそうなのが、「日本橋2丁目地区第一種市街地再開発事業」。この再開発は09年に百貨店として初めて国の重要文化財に指定された高島屋日本橋店を保存しながら進める〔図1〕。にぎわい創出のため、保存建物の一部を改修することを文化財指定時から折り込んでいた。象徴的なのが北側で、歩行者道路をまたいで大屋根を架け、全体をガレリア空間とする。北側の壁には新たに開口部を設け、店内が見えるようにする。

〔図1〕右が重要文化財・高島屋日本橋店。車が往来していた区道を歩行者専用とする。上部には大屋根を架け、ガレリア空間とする(出所:高島屋)

 

 

美しい建築

すばらしい!

 

出典=http://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00199/030700005/