母が亡くなった
大嫌いだった、

そう
涙なんてですはずもないと思っていた。
母の温もりなんて
私は知らない
母の愛情なんて
私は知らない
遺品の整理をしながら
母の残した日記に目をやる
走り書きのような文字が。
私の胸につきささる
大人に慣れない母だった。
小さなメモ帳のなかに暖かい
母がいた
それだけで
いい
もう。
それだけで
いいんだ
あの人は
仏様になったのだから 
溢れそうな
涙をあたしは
押し殺す 。
そして
やっと
と呼べるのだろう
遺影の母は笑っている
何んで泣いているの?
いつまでも少女のようなわがままな 母が 笑っている。