死ぬまでチャレンジ! | 元宇宙工学者が語る「心の宇宙」工学by CoCoRo和ぁるど

死ぬまでチャレンジ!

那智で、130年の伝統を守り抜く職人気質を発見しました。

酢の古式醸造法を今も堅実に守り抜き、
さらにはその方法を最大限に生かして、新しい酢を開発しています。

その方は、
明治12年から続く、酢の醸造元「丸正酢醸造元」三代目社長 
小坂晴次さんです。

お会いする前、奥さんからは、
「社長は、職人気質の愛想のない人間だから」と言われ、
どんな頑固親父なんだろう……と、いかつい職人を想い描いていたのですが、
お会いすると、話し好きの明るい方で、
暖かく歓迎してくれました。

齢すでに八十二とのことですが、
そんな歳を感じさせない、元気で、はつらつとした方です。

社長の先導で、蔵に案内されました。
蔵に入る前、那智三山の神を祀った神棚に祈ります。
そしておもむろにホラ貝を取りだし、
山伏から教わったという曲を奏でます。

黒ずんだ蔵には、身の丈2mもの木桶が12個。
杉材でできていて、中には創業時から使われているものもあるとのこと。

初代が相撲好きとのことで、
木桶には、「若乃花」「双葉山」「北の湖」……歴代の大横綱の名札が。
とても愛着がわくそうです。
一つ一つの木桶に、「がんばれよ」と励ますかのように、塩をまきます。

つぎに案内されたのは、蔵の裏手にある醸造機械。
もう一世紀は使われていそうな頑丈な機械。もちろん動力は人力。
名前は、その機械のぴったしの「雷電」。
知る人ぞ知る江戸時代の怪力力士。

話を伺って、すごいと思ったのは、
すべて実践的で、自ら研究を重ね、五感で判断すること。

お酢の命は、まず水。
軟水がいいのか、硬水がいいのかを、
たくさんのサンプルを使って研究したとのこと。
その結果、やはり軟水である那智山の伏流水がベストだったそうです。

最近は、一年以上費やして、
ニンニク酢を完成しました。
ニンニクの抗菌力は強いので、
それに耐えうる麹を探し出さなければならなかったとのこと。

こうした研究の成果として、
社長が、伝統の醸造法にさらなる工夫を重ねて生み出した
もち玄米酢「那智黒米寿」は、
何度もモンドセレクション最高金賞を受賞しています。

社長曰く
「古式醸造を断じて変えない」
「誰でも作れる酢は作りたくないんですよ。
 消費者の方に喜んでいもらえるのが何より」

酢の醸造に関しては頑固一徹、
いまだチャレンジ精神旺盛な小坂晴次社長でした。

丸正酢醸造元:http://www.marusho-vinegar.jp/