世界一だった江戸時代の医学
紀伊の国出身の偉大な医師のことを知りました。
その名は、華岡青洲(1760-1835)。
江戸時代の外科医です。
青洲は、手術での患者の苦しみを和らげ、人の命を救いたいと考え
麻酔薬の開発を始めました。
当時は麻酔薬もなく、手術を受ける患者は、
手術の痛みに耐えるのに必死でした。
それを見かねた青洲は、麻酔薬の開発に人生をかけたのです。
その間、実母の於継と妻の加恵が実験台になることを申し出て、
数回にわたる人体実験の末、
於継の死・加恵の失明という犠牲の上に完成させたものです。
通仙散というその生薬は、謎に包まれています。
処方は文献でしか残っておらず、
実際にどんな成分を使っていたのかが分かりませんでした。
ところが最近、民家に残る蔵から本物の通仙散が見つかり、
その処方がすべて明らかになりました。
青洲は、この通仙散を用いて、
1804年、世界で初めて全身麻酔を用いた手術を成功させました。
これは、1846 年にアメリカで行われた、
ウィリアム・T・G・モートンによる
ジエチルエーテルを用いた麻酔手術よりも40年以上も前です。
日本の医学が、どれほど進んでいたかが分かります。
そして、最後まであきらめずに麻酔薬開発に取り組んだ青洲の情熱、
さらには、青洲の情熱に思いを重ね、
自分の体を捧げた家族の献身的姿勢にも、まったく脱帽です。