悲しみを癒すのには、日日薬が一番。
そんな言葉をよく耳にする。
どんなに苦しくても辛くても、時間が癒してくれるという意味だ。
しかし、それも場合による。
グリーフで訪れたという。
延々と話を聴き、故人にまつわる出来事などを話してもらう。
そして最後に、心残りだったこと
伝えたかったたこと、言葉を声にしてもらった。
涙で言葉にならない…
やっとの思いで言葉にできた瞬間。
「こんなにも淚ってでるものなんですね」と
本人が驚くほど、泣いて泣いて泣き尽くして
やっとひと心地ついたところで、出たのは
「悲しみを癒すには、日日薬が一番、時間が解決してくれると
言いますけど、やっぱりちゃんとグリーフで終わらせないと
いけないんですね」だった。
長い間、胸の奥にしまっていたグリーフ体験。
そっとしまっておけば、いつの間にか癒され、
悲しみは消えていくと思っていたそうである。
しかし、現実は違っていた。
ある日突然、フラッシュバックのよう悲しみが押し寄せてくる。
その都度衝撃を受け、翻弄されてきたことか
原因がなんであるかもわからずに…
すべてのひとがそうだとは言わない。
だが、本人が気づかないまま、死別体験を引きずり
心や身体に影響を及ぼしているケースは意外に多い。
しっかりと悲しみや、そのほかの感情(喜怒哀楽)を感じ切り
伝えたかったこと、思いをきちんと言葉にして終わらせる。
それがとても重要である。
グリーフケアによって、自分だけのお別れの儀式を済ませたとき、
新たな故人との自由な関係が生まれる。