いつも応援いただきありがとうございます。
今回は、一年前に『国内ライダーの現状』をお伝えさせていただいてから、この一年でどう変化したのかをご報告させていただきたいと思います。

昨年のブログには想像以上に多くの反響をいただき、閲覧数は10万回を超えました。まだ、読んでいない方はこちらのURLからご確認いただけます。

では、本題に参ります。
この一年で大きく変わったことは、戦う環境の変化です。
2021年はMFJ全日本ロードレース選手権にフル参戦させていただきましたが、2022年はフランスに住みながらFIM世界耐久選手権(EWC)に参戦することになりました。
そのため、先月からフランスで暮らしています。移住した主な理由は、こちらの記事に書いてあります!
【渥美心のEWC参戦記】フル参戦に向けてフランス移住を決断、事前テストで憧れのル・マンを走行 | MotoGP | autosport web
 2022年はOG Motorsport BY SarazinFIMから世界耐久選手権(EWC)に"フル参戦"することになった渥美心選手。そんな渥美選手がEWC参戦のなかで感じた、日本のレースとの違いや耐久レースならではの出来事や裏側を語ります。 今回は開幕戦ル・マン24時間に向けて、準備やフランス移住、事前テストなどの大忙しの日々を渥美選手と同行している広報兼ヘルパーの目線で
www.as-web.jp

それから、昨年度から個人スポンサーの名称を改めて、『TEAM COCORO』というファンクラブ型オンラインサロンを設立しました。
応援してくださる方からただ一方的に支援していただくだけでなく、ライダーとして何か少しでも支援してくださる方に恩返ししたいと思い設立しました。
定期的にメンバー内でオンラインミーティングを行ったり、イベントの開催、レースについてさらに詳しくレポートを発信したりすることで、応援してくださる皆さんと近い距離で一緒に戦えるため、自分自身大きな力になっています。現在は約80名の方にご参加いただいています。

また、この1年間でライダーとしてのお金にまつわる知識を税理士の方や、地域の商工会議所、納税協会にお世話になって身につけ、経理をさらに徹底しました。
ほとんどのライダーはスポンサーにお世話になり、レースに参戦できていると思いますが、自分自身まだまだ確定申告などの知識は不十分だと感じることが多々ありました。
さらに今年は海外で生活しているので、ますます知識が必要となり難しさが増します。
そのため、この辺りのこともまずは自分自身が勉強して、今後何らかの形で若手や海外に活動の場を移す日本人ライダーに向けて伝えていければいいなと思っています。



なぜ今年世界選手権で戦えることになったのか

2019年末からヨーロッパで開催されている24時間耐久レースへの参戦を目指し、約1年間片っ端から海外チームにコンタクトを取り続けていました。
それから2年ほど経った頃、以前連絡した『OG Motorsport BY Sarazin』からボルドール24時間に出てみないかというオファーがレース開催の2ヶ月前に突然送られてきました。
その当時は正社員として仕事をしていましたし、コロナ禍真っ只中だったのでそんなすぐに海外に行くなんて無理だろうというのが正直な思いでした。
ですが、自分自身がまき続けた種にようやく芽が出たような感覚で、せっかく得たチャンスを逃すわけにはいかないと諦めることができず、すぐに職場やその時に所属していたチームに許可を得て、ワクチン接種などさまざまな困難を乗り越えてフランスに向かいました。今思えば、会ったこともないチームだったし、本当に走れるかも半信半疑の中よく行ったなあなんて自分でも思うことがあります(笑)ですが、これほど大きなチャレンジをすぐに実行できたのは日頃から支えてくださり応援してくださる方、スポンサー様のおかげだと本当に感謝しています。

それから、2021年9月に初めて参戦したEWC第3戦ボルドール24時間での功績が認められて、帰り際にチーム代表から2022年のフル参戦のオファーをいただきました。二つ返事で今シーズンの参戦が決まりました。

世界で戦うライダーになるということ

海外の選手権でフル参戦するとなれば、数百万円から数千万円の持ち込みが当たり前だと言われる世界ですが、「どこからそんな資金募ったの?」、「EWCにはいくら持ち込んだの?」と気になっている方は多いと思うので、そんな現状を包み隠すことなくお話ししたいと思います。
今年参戦するFIM世界耐久選手権を走るために、「数百万円の持ち込みが必要」との回答をいただいたチームもありましたが、現在所属しているチームには持ち込みは一切していません。
今シーズンは、自分たちの往復分の飛行機代、レースに参加する費用(走行代、遠征費、レースウィークの食費など)は全てチーム負担で、生活ができるほどではありませんがレース毎に少しの給料もいただいています。その分、今まで削っていたトレーニング費などに多く費やすことができるようになり、精神的にもかなり楽になってきています。
このチームが決して裕福でお金持ちなチームなわけではなく、プライベーターチームなので何かを妥協せざるを得ない状況ももちろんあります。ですが、チーム代表は元EWCライダーだったこともあり、命を懸けて戦うライダーを心からリスペクトし、常にライダーファーストな考え方を大切にしてくださるので、このような環境で走らせていただけることに毎日感謝の気持ちでいっぱいです。海外でレースをすることを目標にして活動してきましたが、この一年でここまで自分の環境が変わるとは1ミリも想像していませんでした。

今後どのようなライダーを目指していくべきか

まずは、FIM世界耐久選手権のライダーとして今シーズンのレースで確実に成績を残し、日本人ライダーとして世界に功績を残すことが一番の目標です。
それからもっともっと日本人ライダーが世界に出ていくためのルートを作っていきたいと思います。

話は変わりますが、僕が感銘を受けたスケートボード界の話をしたいと思います。
元々スケートボードの業界は、2輪レースの業界と同様に、そのスポーツで食べていけるプロ選手がほぼ存在することのない世界でしたが、イメージの改革や世界的な大手ブランドの参入により今では"10億ドル市場"にまで成長しています。アメリカよりも10年遅れていると言われていた日本のスケートシーンではSNSの発達によって若い世代のスキルが磨かれていき、さまざまな企業がこの業界に商機を見出したことによって今では世界トップレベルのアスリートを輩出し『食べていけるスポーツ』へと成長しています。そんなスケートボード界で活躍し、東京オリンピックの男子ストリート初代金メダリストに輝いた堀米雄斗選手は僕にとって憧れの選手です。

かつてはマイナースポーツだった競技も誰かの努力やきっかけによって、今では誰もが知っている競技に成長しています。
2輪のレースも若い世代やファンの人たちから憧れられるようなスポーツになるように、命を懸けて走るライダーやレースに携わる人やその家族がご飯を食べていける業界になっていくように、2輪のレース業界の発展に今後は自分なりに模索して貢献していきたいと思います。
まだまだ現状に満足することなくこの先を進んでいきます。


渥美心🈁

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