授与所で目についた絵本
ここは、奈良県吉野郡川上村。
山の奥の、その奥の村、吉野川(紀ノ川)のはじまりの村です。
村の人びとは、山に木を植え育て、それを伐って暮らしてきました。
川上村の人びとは山を大切にすることが水を守ることだと、よく知っていました。
村には、遠い昔から、水の神様である龍神さまが祀られていました。
人びとは龍神さまの教えをよく守り、自然に感謝して暮らしてきました。
そのおかげで、春にはたくさんの山菜が採れ、夏には川遊びをしたり、冬には美しい凍った滝まで見られ、山の幸や川の幸に恵まれ、豊かで平和な暮らしがありました。
そのうち川の下流にだんだん人が増え、田んぼや畑が広がってきました。
川から田んぼにたくさんの水を引くようになりました。
でも、ときどき大きな台風がきて、川の水があふれ畑や田んぼが流されたり、大水に家が浸かることもありました。
川下の人たちは、たびたび川上村にきて、川の水を堰き止めて大水が川下に出ないようにしてほしいとか、雨の降らない時は貯めておいた水を流して欲しいとか頼みました。
でも、そうすると湖の底に自分の家が沈んでしまいます。
お宮さんも沈みます。
せっかく植えた木も沈みます。
何度も話し合いましたが困り果てた村人は龍神さまに相談をしました。
『龍神さん、川の水を堰き止めて湖を作ったら、家も畑も沈んでしまうし、龍神さんも沈んでしまう。わしら…どうしたらええんやろ?』
龍神さまの沈むことは心の支えを失うようで、村人にとって一番悲しいことでした。
すると…龍神さまは言いました。
『わしは、喜んで湖の底に沈もう。その水で川下の人びとの蓄えにするがよい』
ところが、それを聞いた村人は…
『龍神さまがおれへんようになったら、いやや』
…と言いました。
龍神さまは、
『では、わしの体をふたつにしよう。ひとつは山に移して、おまえたちの暮しを見守っていこう。おまえたちも山に移るがよい。』…と言いました。
村人は、何年もかけて山の上に土地を開きました。
土地ができると、お宮さんを山の上に移し、自分たちも川のほとりから山の中ほどに引っ越しました。
みんなが山に移ると龍神さまは川の底に体を横たえました。
龍神さまの上に川の水がだんだんと溜まって、やがては深い湖になりました。
『龍神さま、かわいそうじゃ…。山のお宮で松明を焚いて迎えてやろう』…と決めました。
七夕の夜、村人はお山のお宮さんに集まり、みんなで、かがり火を焚きました。
湖の龍神さまは、そのかがり火をめざして山に登っていきました。
村人は湖のさざ波を見ると、『川の龍神さんが泳いだ』と言い…
山にうろこ雲がかかると『山の龍神さんが飛んでいる』と言います。
川上村の人びとは、今ふたつの龍神さまに見守られて、山を大切にし、水を守りながら暮らしています。
おしまい。
『龍』に誘われて…笑
桜井識子さんの『龍で開運!』を買ったのは参拝したあとだったのですが…
丹生川上神社三社が載っていました。
上社には怖いほどのパワーを持ったスッキリ晴れた空を一瞬のうちに真っ黒な雲で覆い雨を降らせる雨を司る黒龍がいるのだと…
私には龍は見えないけど…
この日、晴れの天気予報に上社に着く頃にパラパラと雨が降り出し…
傘いるかなぁ〜と思って車から降りたら止んで…
それからずっと空が気になってたんですが…
お山の雲が面白いくらいに変わっていきました✨️