2019年4月25日(木)
タクシーで妻と自宅に帰る。
先月納車されたばかりのミニバンが目に入る。
何の為にこの車を買ったんだろう、親孝行するために、沢山家族で出かける為に買い換えたのに・・・当分運転できんなぁ。
検査や輸血があるから早く戻ってこいと病院に言われているのであまり感傷にも浸ってられない。
何を用意しないといけないんだろう?
とりあえず、着替え?タオル?充電器?あと、何だっけ?
つい半年前に出産で入院していた妻の方が当然、しっかりしていて、最低限必要なものをちゃちゃっと用意してくれる。
あー、とにかく時間がない!と思ったことを鮮明に記憶しています。長期戦になるなら色々本を持って行くとかあったと思うけど、片付いてないからパッと出せない。
私の本は実はほとんどが引っ越してきた時から放置されていて段ボールの中に入ったまま・・・
日頃からちゃんと片付けをしておきなさいって事ですね。
あと何より、娘と触れ合う時間が欲しかった。
私の入る病棟は血液内科や膠原病・リウマチ科の患者さんが中心で、無菌室もあり、子供の入出禁止。
必然的に会える時間は制限されてしまう。
住んでからまだ丸二年も経過してない家。
ついさっきまで娘達が遊んでいたようなおもちゃが出しっぱなしになったリビングを眺めて長く留守にしてしまうんだなぁ・・・と思うと自然と涙がこぼれた。
大きな鞄二つに荷物を詰めて、すぐ近くの妻の実家へ向かう。
愛する二人の娘を預かってもらっているのだ。
2歳半になる長女のココはピーターパンのDVDを見せてもらっていて眠そうにしてた。
抱きしめても、当然わからんよね~。とーちゃんの膝の上にちょんと乗ってテレビを見続ける。
「とーちゃんのいない間、おりこうさんにしておいてね」
次女のリサはお腹が空いていて泣いていた。もうすぐ本格的にハイハイするようになるのに、とーちゃん見られないね。
そして、4人で写真を撮った。
なかなかタクシーが捕まらなかったけど、妻が捕まえた。
お義母さんとお義姉さんによろしくお願いしますと伝えてようやく病院に戻る。
早速、いくつかの検査、そして輸血。
足りなくなった成分(血小板とか)を足していくのだという。
夕食が出て、昼の薬が遅かったから時間を空けましょうと看護師さんと会話したのを覚えている。
慣れていると言えば慣れているのだろうが、突然白血病を告知されて、緊急入院したおっちゃんに対して、看護師さんはしっかりと寄り添って声をかけてもらったように思う。
そうやんな、とにかく治療して元気になるしかないんだ、そう決意して眠りにつく・・・筈が。
入院初日の地獄はここからだった。
4人部屋に既に2人入っている状態で私が3人目。
バタバタして入ってきたし、挨拶とかまた明日とかでいいか・・・
気持ちの整理もつかないし、考えることが沢山ありすぎる。眠れるかな~と消灯。
が。
実際は全ての不安を全て消し去るものが突如として出現したのです。
それは同じ部屋の方の”いびき”!
それも恐らく普通ではない、何らかの病気が影響していると思われるクラスの音量。騒音、といっても差し支えないレベル。
とどめはその方が睡眠時無呼吸症候群だったこと!
普通のいびきよりもダメージ大きい!だってしんどそうなんやもん!定期的にゲホゲホ言ってるし。
何度も何度も寝ようとして、くじけた。無理、寝られへん
うるさいだけじゃなくて気になるし、ウトウトしても起きてしまう。
別に本人に悪気があるわけでもないし、文句も言えない。
もう一人のおっちゃん、よう寝れるなぁ~
結果、初日の夜は何度も何度も徘徊しました。
部屋にいてられなかったから。
看護師さんが気づいて声をかけてくれたり、謝ったりしてくれたけど、別に貴女が謝ることでもないし、と思ったり。
デイルームと言われる待合室的なスペースで、ウトウトしながら保険ってどうなってたっけ、個室のお金出るかなぁ、とてもじゃないがこれでは闘病できん・・・明日、妻に相談しよう、そんなことを考えながら夜は明けていき、入院初日は終わった。